漢字とひらがなの使い分け

2017年4月17日

 

日本語の文章は、さまざまな字体が混在して形成されます。

特に使う頻度が多いのは、ひらがなと漢字ですね。

この使い分けについて考えてみましょう。

 

 

 

原文
 上司に相談した所、「迷った時に無理をするのはやめて置きなさい」との事だった。

 

一見すると何の変哲もない文ですが、ひらがな変えるべき箇所があります。

どの語句か判断できますか?

 

 

さっそく正解を見てみましょう。

 

 

 

改善文
 上司に相談したところ、「迷ったときに無理をするのはやめておきなさい」とのことだった。

 

変わったのは、以下の箇所です。

 

● 所 → ところ

「所」は特定の場所を表します。この内容では、「相談してみたら~」という意味で使われているので、漢字は不適切です。

 

● 時 → とき

「時」は時間や時期を表しています。この場合は「~の場合」の意味合いで、具体的な時間を表したいわけではありません。時間に関係なければ、ひらがなを使います。

 

● 置きなさい → おきなさい

この「おきなさい」は補助用言(補助動詞)と呼ばれるもので、直前の「やめて」に添えることで意味に変化を与えています。

つまり put(置く)とは性質が異なっているので、漢字で表記するべきではありません。

 

● 事 → こと

漢字で「事」を使うのは、内容に具体性があるときのみです。今回の「こと」は、上司のアドバイス全体を名詞化する役割として使われているので、ひらがな表記にすべきです。

 

ひらがなと漢字の使い分けで重要なのは、正誤の判断だけではありません。

原文と改善文とを比較したとき、読みやすさが違っていることに気づくはずです。

改善文は、その文体からやわらかな印象を受けます。書いている内容は同じでも、流れるように読むことができるのです。

このような読み手への気遣いがあってこそ、読みやすい文章を書けるのです。

 

Posted by 赤鬼