助詞「に」「へ」の使い分け
助詞のなかには、ほとんど同じような使われ方をするものがいくつかあります。
今回は「に」と「へ」について考えていきましょう。
これらの助詞は、入れ替えてもほとんど意味が変わりません。
しかし、文章のニュアンスは変わります。
① 「に」を使った場合 : もしよければ、こちらに来てください。
② 「へ」を使った場合 : もしよければ、こちらへ来てください。
どちらの文も、同じ意味としてとらえる人がほとんどでしょう。
それでは①と②には違いが全くないかというと、そうではありません。
「に」と「へ」には、使い分けの基準があります。
① 「に」を使う場合 ・・・・・・ 対象がはっきりしている場合
特定の場所、他のどこでもない場所など
② 「へ」を使う場合 ・・・・・・ 対象がはっきりしていない場合
方向や方角、大まかな地域など
かんたんに表すと、このような基準をもって使い分けます。
つまり、先の例文でいえば「こちら」が示す場所によって、助詞が変わるのです。
① 「に」を使った場合 : もしよければ、私の実家に来てください。
② 「へ」を使った場合 : もしよければ、秋田へ来てください。
①の文では、対象がはっきりしています。
おそらく「私の実家」は一箇所しかないでしょう。
それ以外に対象となる場所がないということで、「に」を使います。
②の文では、「秋田」となっています。
広い範囲を指しているので、使う助詞は「へ」が適切です。
ただし、この基準を妄信してはいけません。
この場合、例文の「に」や「へ」を入れ替えても間違いではないからです。
● もしよければ、秋田に来てください。
これでも、十分に意味は通じてしまいます。
ここが日本語の難しいところですね。
つまり、必ずしもこの文が間違っているとは言い切れないのです。
重要なのは、自分なりの基準をもつことです。
助詞の使い方がブレてしまうと、書き手としての在り方にも影響します。
今まで「に」と「へ」について基準を設けていなかった人は、今回の内容を参考にしてください。
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