助詞「に」「へ」の使い分け

2018年12月4日

 

助詞のなかには、ほとんど同じような使われ方をするものがいくつかあります。

今回は「に」と「へ」について考えていきましょう。

 

これらの助詞は、入れ替えてもほとんど意味が変わりません。

しかし、文章のニュアンスは変わります。

 

 

例文

① 「に」を使った場合  :  もしよければ、こちら来てください。

② 「へ」を使った場合  :  もしよければ、こちら来てください。

 

どちらの文も、同じ意味としてとらえる人がほとんどでしょう。

 

それでは①と②には違いが全くないかというと、そうではありません。

「に」と「へ」には、使い分けの基準があります。

 

 

① 「に」を使う場合  ・・・・・・ 対象がはっきりしている場合

特定の場所、他のどこでもない場所など

 

② 「へ」を使う場合  ・・・・・・ 対象がはっきりしていない場合

方向や方角、大まかな地域など

 

 

かんたんに表すと、このような基準をもって使い分けます。

 

つまり、先の例文でいえば「こちら」が示す場所によって、助詞が変わるのです。

 

 

例文

① 「に」を使った場合  :  もしよければ私の実家に来てください。

② 「へ」を使った場合  :  もしよければ、秋田へ来てください。

 

①の文では、対象がはっきりしています。

おそらく「私の実家」は一箇所しかないでしょう。

それ以外に対象となる場所がないということで、「に」を使います。

 

②の文では、「秋田」となっています。

広い範囲を指しているので、使う助詞は「へ」が適切です。

 

ただし、この基準を妄信してはいけません。

この場合、例文の「に」や「へ」を入れ替えても間違いではないからです。

 

● もしよければ、秋田来てください。

 

これでも、十分に意味は通じてしまいます。

ここが日本語の難しいところですね。

つまり、必ずしもこの文が間違っているとは言い切れないのです。

 

 

重要なのは、自分なりの基準をもつことです。

助詞の使い方がブレてしまうと、書き手としての在り方にも影響します。

今まで「に」と「へ」について基準を設けていなかった人は、今回の内容を参考にしてください。

 

Posted by 赤鬼