助詞「を」について

2017年7月27日

 

 

今回は、助詞「を」について考えます。

この助詞を使う場面は、ひとつしかありません。

 

 

「を」を使う場面
● 動作の対象を示すとき      例 : 車運転する。
  A.  経路を示すとき      例 : 市街地通る。
  B.  起点を示すとき      例 : その店飛び出した。

 

「を」の用法は、動作の対象を示すときのみです。

例文にあるとおり、「運転する(動作)」の対象になるのは、「車」ですね。

これらの言葉が、「を」によってつながれているのです。

 

ちなみに、対象に直接の影響を及ぼさない場合でも使うことができます。

これが、AやBにある文章のことですね。

 

 

さて、ここまでは国語の授業でした。

次は、文章として書く場合を考えましょう。

 

「を」の特徴は、連続使用が許されるところにあります。

例文を読んで、あなたは違和感を覚えるでしょうか。

 

 

例文
  ① 彼女は会社辞めて、実家飛び出した。
  ② 世界大会経験したA氏、コーチとして迎えた。

通常、一文のなかで同じ助詞を繰りかえし使うことは、あまり好ましくありません。

しかし例文を読んでみると、不自然さを感じないのです。

これが「を」の特徴です。

 

ただし、これに甘んじてしまうと、表現の機会を失うことになりかねません。

少し手を加えてみましょう。

 

 

改善文
① 彼女は会社辞めて、実家から飛び出した。
② コーチとして迎えたのは、世界大会経験したA氏

 

①では、「から」に置きかえました。

実家に対して何らかの不満があった心情を描写する場合には、こちらの表現のほうが良いですね。

 

他の言葉に置きかえるのではなく、内容の順番を変えたのが②です。

変更前は「コーチとして迎えた」ことに重きをおいている印象でしたが、こちらは「A氏」が強調されました。

 

 

このように、「を」には工夫する余地が隠されているのです。

表現の機会をみすみす逃してしまうのは、非常にもったいないことですね。

「その文章で伝えたいことは何か」を考えて、ベストな表現を選択しましょう。

 

 

Posted by 赤鬼