文章を真似るということ

他人が書いた文章を真似る。

これは、効果的に文章力を向上させる方法です。

 

なかでも、代表的なトレーニングは「丸写し」です。

自分の感性と合致する文章を丸写しすることで、そのノウハウやテクニックを実感として学ぶことができます。

 

 

ちょうど、好きなモデルや俳優、ミュージシャンのファッションを真似ることと似ています。

より良い自分自身に近づくため、憧れている人物の感性を「良い意味で盗む」わけですね。

 

文章を丸写しすると、他者の感性を自分の内部に取り込むような感覚になります。

「こういう見方もできるのか」「こんな表現があったのか」「こうした構成や筆致で書き進めるのか」

など、さまざまな発見があります。

読み手に徹していると気づかなかったことが、浮き出すように見えてくるのです。

 

良い部分は真似をして、そうでない部分はスルーしてしまえば、自分自身が執筆するときに必ず役に立ちます。

文章において、真似ることは学ぶことでもあるのです。

 

 

書き手のなかには、丸写しすることに抵抗があったり、なかなか気が進まないという場合もあるでしょう。

 

「自分の色」を出したい書き手にとって、誰かの文章が自分の内部に入り込むということは不安そのものであるからです。

まるで、感性が汚されるような気になってしまうのです。

 

ただし、過剰に心配する必要はありません。

なぜなら書き手のオリジナリティは、そう簡単に崩れないからです。

 

真似るくらいで、自分がその誰かになれるわけではありません。

少し厳しいかもしれませんが、そもそも丸写しした文章に染まってしまう程度の書き手であれば、守るべきオリジナリティは大したものではないはずです。

恐れることなく、積極的に真似るくらいの気持ちでも良いでしょう。

 

 

文章だけでなく、写真、絵、映像、音楽でも同様ですね。

表現の世界では、模倣から得られる事柄はとても大きいのです。

 

とくに、いわゆる「駆け出し」の時期であれば、たくさんのインプットとアウトプットが必要です。

何かしらを真似るということは、自分の方向性を決めたり、それを発展させたりと、今後の広がりに繋がる重要な行為なのです。

 

もちろん、盗用や盗作になるような使い方をしてはいけません。

あくまで文章力向上のために、良い意味で盗むというスタンスが重要です。

インプットとアウトプットが足りないと感じたり、執筆が行き詰ったりしたときには、自分の感性に合う書き手の文章を真似てみましょう。

 

 

■参考

 

 

 

 

コラム

Posted by 赤鬼