今回は、語彙力についてあらためて考えます。
そもそも、「語彙力」とは何でしょうか。
語彙というのは、平たくいえば言葉や単語のことです。
厳密な定義はさておき、ここでは「どれだけの語彙をもっているか」と解釈して差し支えないでしょう。
ただし、これはあくまで一般論です。
もうすでに理解していたという人も多いでしょう。
書き手として理解しておくべき語彙力は、ここから先の内容です。
実のところ、語彙力には2つの種類があります。
「理解語彙」と「使用語彙」です。
それぞれ見ていきましょう。
理解語彙
理解語彙とは、理解できる語彙です。
つまり、見聞きしたときに理解できる言葉のことです。
たとえば、「憮然」という言葉で考えましょう。
あなたが、この言葉を知っていたとします。
「憮然(ぶぜん)」という読み方や、単語の意味を、知識としてはもっているわけです。
ただし、この言葉の使い方がわからなかったり、使ったことがなかったりと、実用レベルに達していない場合もあるでしょう。
そうなると、「憮然」は、あなたにとっての理解語彙となるわけです。
使用語彙
使用語彙とは、使用できる語彙です。
読み書きするときに使える語彙のことを指します。
前項でご紹介した理解語彙は、読んだり、聞いたりしたときに理解できる言葉でした。
その言葉を使いこなせるようになった場合、使用語彙として扱われるわけです。
使用語彙は、言葉の意味がわかっていることもちろん、使いどころも適切に判断できることが求められます。
たとえば、「なおざり」と「おざなり」です。
あなたは、これらの区別ができて、適切に使い分けることができるでしょうか。
「いい加減に済ませる」という意味では、どちらも似たような言葉ではあります。
しかし、その意味する内容は、やはり大きく違います。
● 「なおざり」は、(物事、人に対して)何もしないこと
● 「おざなり」は、(物事、人に対して)適当に済ませること
もしも、これらを区別できなかった、あるいは間違って覚えていた場合、「なおざり」と「おざなり」は使用語彙とはいえません。
書き手としての語彙
理解語彙と、使用語彙。
書き手に必要なのは、いうまでもなく使用語彙ですね。
多くの言葉を理解できるよう努力するのは、とても良いことです。
しかし、書き手は文章を書いて発信するわけですから、それだけでは不十分です。
どれだけ多くの言葉を正しく扱えるかが重要なのです。
当然ながら、語彙の数量で考えれば、圧倒的に少ないのは使用語彙です。
どんなに経験豊富な書き手であっても、この傾向は変わりません。
書き手としての語彙力を鍛えるためは、使用語彙を一語でも多く増やすことが必須です。
理解していても、使用できない言葉。
これを、実用レベルに引き上げていきましょう。
■ 参考