動詞で「かたさ・やわらかさ」を操作する
こちらの記事で、書くときには「動詞に重きをおく」とご紹介しました。
具体的にこれをテクニックとして活用すると、文章にさまざまな変化を加えることができます。
わかりやすいところでは、文章の印象に「かたい文章」「やわらかい文章」という表現がありますね。
読み手が感じる「かたさ・やわらかさ」の多くは、動詞の使い方によって左右されます。
例をみながら、それぞれについて考えていきましょう。
かたい文章
例
この商品は、爆発的な需要をもたらした。
「もたらした」はもちろん、「需要」という言葉も含めてかたい文章になっています。
動詞に「もたらす」を使うのであれば、それを受けるために相応の単語が必要になるのは当然ですね。
このように、かたい文章にするためには「動詞を受ける言葉」も含めて考えなければならないのです。
書き手の工夫次第では、さまざまな表現を当てはめることができます。
● この商品は、世に広く知れ渡った。
● この商品は、多くのニーズを生み出した。
● この商品は、その名を轟かせることとなった。
いいかえれば、書き手の語彙力によって仕上がりが変わるわけですね。
動詞の使い方によって「かたさ」が決まることは間違いありませんが、書き手は複合的な考えをもって文章を構築しましょう。
やわらかい文章
例
この商品は、爆発的に売れた。
前項の内容を噛み砕いてみると、「売れた」の一言で済んでしまうのです。
動詞ひとつ変えるだけで、文章がやわらかくなりました。
幅広い層に受け入れられるのは、こちらの文章ですね。
やわらかい文章にするために重要なのは、シンプルに考えることです。
複雑に考えながら文章を書いていると、書き手はエキセントリックな気持ちになりますが、文章はどんどんかたくなっていきます。
難しい言葉を使おうとせず、万人にわかるような言葉選びをしながら、素直に書き落とす。
これを徹底すると、やわらかい文章を書くことができます。
状況によって使い分ける
一般的に「かたい文章はわかりづらい」と言われています。
たしかに「需要をもたらした」と「売れた」では、読み手の理解度や読解のスピードに差が出るのは当然でしょう。
しかし、やわらかい文章が絶対的な正解とは限りません。
ビジネス文書のように公的な色味が強い文章では、かたい文章で書くと実情との馴染みが良くなります。
もちろん、子ども向けの文書であれば、可能な限りやわらかい文章で書くべきです。
例文の場合、「需要をもたらした」は不適切であって、「売れた」のようにかんたんな言葉を使って書くべきですね。
書き手は、そのときの状況に応じて「かたい・やわらかい」を使い分ける必要があります。
「どんなシチュエーションで作成する文書なのか」や「どんな読み手に向けた文章なのか」を考えることが大前提となります。
そして、書くときは「動詞」の使い方に注意しながら、双方を書き分けられるようになりましょう。
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