【一人称で書く】物語として成立させる【困難な点】【解決策】
一人称であれば、原則として単独の視点で書いていくでしょう。
そうなると当然ながら、物語の世界でのインプット・アウトプットはひとつになるわけです。
視点が強く限定された一人称で、物語を成立させるのは至難の業です。
今回は「物語の作り方」に重きをおきながら考えていきましょう。
物語が破綻しやすい
主人公が知らないはずの情報を、うっかり書いてしまったとしましょう。
● その場にいなかったはずなのに、なぜか詳細を知っているかのように描く
● 「○○(主人公)は顔を赤らめた」など、観察できないはずの内容を描く
● 「他人の心理描写」や「俯瞰しすぎた情景描写」など、視点をこえた内容を描く
書き手の頭のなかでは整合性がとれていたとしても、読み手からすれば破綻した物語となります。
「限定された情報しか提供できない」という条件のもと、物語を形成するのは困難です。
書き手は大まかな構造だけでなく、細部までケアしなければなりません。
「ドラマ」をもたらすのが難しい
「主人公のパーソナリティを明記できない」のは、一人称の特徴のひとつです。
そうなると物語にドラマをもたらすことが難しくなるのです。
書き手は、たったひとつしかない視点でいかにおもしろい物語を作るかを考えなければなりません。
読み手は「他人の取るに足らない生活」や「他人の飽き足りない考え」に興味がありません。
垂れ流すように書いたとしても、それは物語になり得えないのです。
魅力的なキャラクターを創りあげるべく、能動的な工夫が必要です。
2パターンの解決策
前項、前々項の内容をうけて、もっともかんたんな解決策をご紹介します。
● 「特殊な主人公」を設定する
“普通”とは違った外見や境遇、狂った価値観をもっている様子などを設定してみましょう。
描き方に工夫は要るものの、一応はパーソナリティの問題が解決します。
● 外部からの刺激を設定する
「物語の構造に響くような刺激」を設定すると、ドラマをもたらすことができます。
他者との特別な関係を描いたり、大きな出来事を設けたりすると良いでしょう。
これらは、「書いている最中に感じる難しさ」とは少し性質が違っています。
物語全体を見ながら、構造に対しておもしろさを追求する必要があるからです。
とはいえ、瞬間的な一文一文をないがしろにすべきではありません。
物語が破綻することのないよう、慎重に形成していきましょう。
■ 参考
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