表現をポジティブに変換する
近頃、百貨店から防犯カメラが減っています。
犯罪を防止するため、または犯罪が起こった様子を記録するためのカメラがなくなっているのです。
しかし、カメラの台数が減ったわけではありません。
防犯カメラは「安全カメラ」と名前を変えて、引きつづき、その役割を果たしています。
つまり、表現を工夫しているわけですね。
この工夫は、書き手として見習うべきポイントといえます。
防犯カメラと聞けば、利用者は常に監視されているような感覚になってしまいます。
捉え方によっては「目を光らせておかないと、悪いことをしでかすだろう」という前提にあるわけですから、利用者としては気分の良い環境とはいえません。
しかし「安全カメラ」という言葉からは、ネガティブな印象が排除されています。
お客さんの安全を守るための存在であり、「あなたたちを見守っていますよ」というメッセージを感じとることができます。
カメラとしての役割は変わっていないものの、表現を工夫することによって前向きな環境づくりができているわけです。
言葉の選び方によって変わる、読み手の解釈。
これは、そのまま文章に応用できます。
とくに、ネガティブな内容を示唆する表現です。
この場合は、伝え方を工夫する余地があります。
具体的には、ポジティブな印象に変換する配慮が必要になります。
前述した内容では、「防犯カメラ」が「安全カメラ」とされていました。
これは、「犯罪」というネガティブな要素を表に出さない配慮ですね。
個人のコンプレックスを扱うときにも、同じような配慮が必要です。
● ガリガリにやせている様子 ⇒ 「細身」、「華奢」
● ブクブクと太っている様子 ⇒ 「ぽっちゃり」、「ゆるふわ」
「ガリ」や「デブ」と表現してしまうと、コンプレックスを刺激することになります。
このような内容をどうしても伝えなければならないとき、上記のように表現を工夫すれば、過度な刺激を避けることができるのです。
執筆において、書き手としての配慮は非常に重要です。
読み手のことを考えるのはもちろん、それだけではなく、文章で扱う対象にも配慮すべきです。
自分の言葉がどのように伝わるかをイメージしながら、表現をポジティブに変換していきましょう。
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