テンションをコントロールする
もしも、全部のパートがサビという楽曲があったとします。
そのような楽曲を聴いて、一体どれくらいの人が感動するでしょうか。
おそらく、かえって単調に感じてしまうことでしょう。
理由は、盛り上がりどころがつかめないからです。
これは文章にも同じことがいえます。
この映画は、今まで観た中でも最高の作品でした!
ひとつの作品を観ている間に、喜怒哀楽、すべての感情で涙が流れるなんて……!
初めての経験でした!
ぜひ! ぜひ! おすすめしたいです!
読んでわかるとおり、テンションを上げすぎています。
このような書き方では、すべてがうるさく感じてしまう文章になってしまいます。
書き手の気持ちを伝える意味では悪くないのかもしれませんが、肝心の内容がぼやけていますね。
この映画は、私の中で特別な作品となりました。
ひとつの作品を観ている間に、喜怒哀楽、すべての感情で涙が流れるなんて……
初めての経験でした。
ぜひ、おすすめしたいです!
改善文のほうが、バランスがとれた文章であることは明白ですね。
三点リーダー(……)と感嘆符(!)を使い分けることで、文章内のテンションをコントロールしています。
それだけでなく、表現にも気をつかっています。
映画のような定量化できないものに対して、初めから「最高」と言い切ってしまうと、安っぽい印象を受けることがあります。
「特別」と言いかえることで、「どのように特別なのか」を知りたくなるような書き方をしたのです。
符号を使う割合であったり、読み手を誘う表現についての解説はここまでです。
今回の内容で重要視するのは、テンションの上がり下がりです。
ずっとハイテンションな原文に対し、改善文では要所をおさえながらバランス良く書けています。
つまり、テンションのコントロールができているのです。
改善文のような文章を書くコツは、「普段から素っ気なく書く」ということです。
素っ気なくといっても、読み手を突き放すような書き方をするわけではありません。
あくまでも、言葉を飾り過ぎないようにするという意味です。
いつもは「、」や「。」しか使わない書き手が、「!」や「……」を使えば、読み手の目を引くことができます。
それは文章の抑揚となり、結果として、良いスパイスとなるのです。
文章の山場、つまりサビをどこにもってくるか。
何を、どのように伝えたいのか。
書き手の意志を反映させるためにも、テンションをコントロールできるようになりましょう。
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