「登場人物の死」は慎重に
小説は自由であり、自由だからこそ書き手には自制心が求められます。
とくに注意して扱わなければならないのは、「登場人物の死」です。
登場人物の死というのは、物語を展開する上で大きな要素となります。
いわば、劇薬のようなものですね。
「死」は、印象づけたい展開のなかでも、比較的かんたんに読み手の心を動かすことができるものです。
ただし、いくら小説だからといって、作中でのマネージメントを怠ってはいけません。
架空の物語とはいえ、人が死ぬのですから大事にならないわけがないのです。
書き手として、そこに至る設定を詰めないまま、殺しっぱなしで放置するようなことがあってはなりません。
なぜなら、それなりの理由がなければ「死」の重みがなくなってしまうからです。
加害者の心理状態や、被害者の関係性、それが物語にどのような影響を及ぼすかなど、考えるべきことは山ほどあります。
もちろん、その前後についても詳細を詰めなければなりません。
犯行に及んだ経緯やその方法、遺体の処理や葬儀の描写を組み込むかどうかなど、これもまた熟考を重ねる必要があります。
この詳細を作中で表現するかどうかは別として、少なくとも書き手の頭の中にはいれておくべきです。
通常であってもデリケートな題材であることは疑いようがなく、書き手は十分に配慮しなければなりません。
これを怠ると、登場人物の死はチープなものになってしまうでしょう。
小説だからといって、安易に登場人物を殺してはならないのです。
作品のジャンルを問わず、登場人物の死は慎重に扱いましょう。
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