人物像の設定について
登場人物を描くときの考え方についてご紹介します。
書き手のスタイルにもよるところではありますが、ここではひとつの結論を提示します。
人物像は、できる限り細かく設定するべきです。
性格や生い立ちはもちろん、見た目やクセ、交友関係といったところまで決めても良いでしょう。
ライティングの基本である、ペルソナの作成に通じる部分がありますね。
たとえ作中に描かなかったとしても、登場人物のイメージは細部まで練ったほうが良いです。
なぜなら、細かく設定することで物語に「リアリティ」が生まれるからです。
小説を読んでいるとき、登場人物に対して「物語の都合に合わせた存在だな」と思った経験があるでしょう。
(小説として描かれている以上、原理的にはすべての登場人物がそうでしょうけれど)
作者に振り回される登場人物は、読み手の関心を削ぐだけでなく、それに気づいた瞬間はちょっとした興ざめを起こします。
「いかに自然に組み込めるか」が腕の見せどころであり、これを実現するためにも人物像は細かく設定せざるを得ないのです。
一方で、ややこしい側面もあります。
作者は創造主でありながらも、登場人物の人格を尊重しなければなりません。
この理屈で考えれば、結局のところ「他人」として扱うほかなく、作者がすべてのディティールを設計することは不可能となります。
しかし、だからこそ作者は向き合わなければなりません。
「きっと描ききれないだろう」と思いながらも、できる限り詳しく詳細を詰めなければならないのです。
そうしたプロセスを経て、登場人物に命が吹き込まれ、作品にリアリティが生みだすことができるのです。
「立体感や奥行きに乏しい」と感じたら、今一度、登場人物と向き合ってみてはいかがでしょうか。
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