言葉の性差に配慮する ~ 名詞の性別 ~
私たちが普段何気なく使っている言葉には、男女の差があります。
今回は、名詞の性別について考えて見ましょう。
多くの外国語、とくにヨーロッパの言語では、名詞の性を区別する場合が多くあります。
たとえばラテン語圏では、「太陽」は男性名詞で、「月」が女性名詞といった捉え方がなされることが多いです。
逆にドイツ語では、「太陽」は女性名詞で、「月」が男性名詞とされているなど、言語によっても違いがあります。
このような名詞の性別は、少なからず、文章の書き方にも影響します。
身近なところでは「姉妹都市」という表現です。
英語では「都市」という言葉に女性の性が付与されていて、この概念はそのまま日本語に準用されています。
こうした背景をもって、日本語においても「姉妹都市」という表現が使われています。
「兄弟都市」と表現しないよう、教養としてもっておくことがまず第一に大切ですね。
もう少し、実践的な面についても考えましょう。
仮に「船」を描写するとします。
日本の船は「○○丸」というように、男性的な名前が使われてる傾向があります。
したがって、日本の船であれば、その様子を男性的に描写してもなんら違和感はないでしょう。
しかし、欧米の船となれば話は別です。
欧米では、古くから船を女性として扱ってきた経緯があります。
有名な「クイーンエリザベス」を描写するとき、男性的に描くのは適切でないでしょう。
この場合、美しく優雅に表現したほうが、読み手の納得感は得やすいのです。
このように、抽象的な性的概念をもった言葉の扱いには気をつけなければなりません。
読み手に不要な違和感を与えないためにも、備えておく必要があるのです。
ただし、名詞の性差は年々薄れてきていることも事実です。
英語では「ハリケーン」に女性の名前をつけていましたが、慣習的な性差をなくそうとする働きかけから、男性の名前も使われるようになりました。
例として挙げた「船」についても、その代名詞は “She” でなく “It” とするのが一般化しつつあります。
こうした時代の変化、あるいは概念の変容を含めて、書き手は把握しておく必要があります。
名詞の性別を教養として備えておくことはもちろん、その扱われ方についても、広くアンテナを立てておきましょう。
■ 参考
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