「表現の見え方」をコントロールする
今回は、表現の見え方について考えます。
書き手はさまざまな表現を使いますが、読み手にはどのように見えているのでしょうか。
例を交えながら考えていきましょう。
① 私たちのチームは、結果としてベスト16に進出できた。
② 私たちのチームは、結果としてベスト16止まりだった。
同じ物事を書くにしても、使う言葉によって見え方が変わっています。
例文におけるポイントは、「私たちのチーム」に対する評価です。
低く評価していた人からすれば、①の文がしっくりくるでしょう。
逆に、高く評価していた人は、②の文のような表現を使うはずです。
こうした認識の差から、表現の違いが生まれてくるわけですね。
書き手であれば、この表現の違いをしっかりとコントロールすべきです。
理由は、2つあります。
まずは、これが文章のニュアンスに関わってくるからです。
文章のニュアンスは、こうした表現の差からも生じてきます。
読み手はそれを鋭く感じとり、そこから書き手の考えや人間性を想起します。
どのように伝わるべきかを意識しなければ、誤解を招くこともあるでしょう。
したがって、使う表現には十分に気を配るべきなのです。
もうひとつの理由は、文脈との整合性をとるためです。
たとえば「私たちのチームはこの大会で優勝できる」と考えていた書き手が、その旨を文章に書いていたとしましょう。
それなのに「結果としてベスト16に”進出できた”」と説明もなく書いてしまえば、つじつまが合わなくなってしまいます。
ポロッとこぼれ落ちるように書いた表現は、読み手に違和感を与えます。
文脈に整合させるためにも、ここは注意深く意識しなければなりません。
今回の内容は「物事のとらえ方」、あるいは「言葉の選び方」によるものと考えても良いでしょう。
しかしそれらにフォーカスして考えるのは、出口のない迷路に入っていくも同然です。
書き手が自問自答をくり返し、自分の中にある答えを掘り下げていく必要があるからです。
自分自身のことを考えるのはとても大事ですが、それよりも大事なのは読み手ではないでしょうか。
物事の見え方に着目し、伝えるべきことが伝わるようにコントロールしましょう。
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