推敲の基本【骨と肉】【削り方】
書き手である以上、「推敲」という作業から逃げることはできません。
百戦錬磨のプロですら、一切の推敲なしに文章を書くことはないでしょう。
今回は、推敲するにあたって基本となる考え方を紹介します。
順を追ってみてきましょう。
基本は「削ること」
なにかを伝えようとすると、たくさんの言葉を使いたくなります。
「伝わらない」「届かない」「理解してもらえない」という不安を払拭するため、あらゆる言葉を並べて武装しようとします。
書き手が意気込むほど、その傾向は強くなっていきます。
つまり、文章は過剰になりやすい性質をもっているのです。
したがって、推敲の基本は「削ること」といえます。
読み手の立場からすると、長ったらしい説明や無駄な言いまわしにはうんざりしてしまうものです。
一言で伝えれば十分である(と思われる)ところに、何行も割く必要はありません。
読み手を退屈させることのないよう、まずは「削ること」に重点をおいて考えましょう。
文章の骨格を見極める
では、どこのどんな部分を削るべきか。
書き手はこれを見極めなければなりませんが、すぐに決断できることではありません。
文章の種類によって削るべき部分が変わるのはもちろん、書き手の好みやこだわりによっても差が出てくることであり、かんたんな問題ではないのです。
ただしひとついえるのが、文章には「削ってはいけない部分」があるということです。
たとえば「現在の天気」を伝えるとき、空模様についての記述を削るわけにはいきません。
「晴れ/くもり/雨/雪」など、伝え方はさまざまあるにしても、読み手に理解させるためには最小単位となる言葉の連なりがあるはずです。
いわば文章の骨格ですね。
ここまで削ってしまうと、過剰を防ぐどころか、不足が生じてしまいます。
削ろうとする前に、まずは文章の骨格を見極めることからはじめましょう。
「ぜい肉を落とす作業」
残念ながら、骨格だけで組み上げられたガイコツ文章では不十分です。
たとえば、履歴書の志望動機に「入りたいから」とだけ書いたとしても採用される見込みはないでしょう。
骨格にどのような肉付けをするか。
これを考えることが書き手の仕事といえます。
もちろん余分な肉がつきすぎた場合は、説明や言いまわしが「過剰」になっていると考えられます。
だからこそ推敲するわけですが、書き手はこのバランスを整えなければなりません。
つまり削るということは、「ぜい肉をそぎ落とす作業」ともいえるわけです。
しっかり全体を引き締めることで、見た目にも美しい、健康的な文章に仕上げていくのです。
次第に、濃密に
何千、何万文字もかけて紡いだ文章が”お蔵入り”になることだってあります。
テーマの選定が悪かったのかもしれませんし、構造の立てつけが不安定だったのかもしれません。
表現に無駄が多かったのかもしれませんし、基礎的な筆力が足りなかったのかもしれません。
場合によっては、書いているときよりも多くの時間を割くこともあるでしょう。
削るという作業には、当然ながら労力が必要です。
書き手からすれば、無駄な作業を省くためにも、最初から「健康的な文章」で書くのが理想といえますね。
しかしこれは一朝一夕で実現できるものではなく、相応のトレーニングが必要です。
トレーニング、つまり強度の高い推敲をくり返すことで、「書きっぱなしの文章」と「仕上がり」の差異は埋まっていきます。
削るべき部分が次第に少なくなり、早い段階から濃密な文章を出力できるようになるのです。
もちろん、冒頭にあったように、プロでも推敲は必須の作業です。
「初稿=完ぺき」とまではいかないにしろ、推敲に割く時間はどんどん短くなっていくはずです。
未来の自分が楽に執筆できるよう、意識を高くもって推敲していきましょう。
■ 参考
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