常体と敬体
日本語の文章において、代表的な文体は、「だ・である調」と「です・ます調」です。
あまり馴染みがない言葉かもしれませんが、このように表記すればピンとくるはずです。
● 常体(だ・である)
● 敬体(です・ます調)
今回は、常体と敬体の特徴、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
● 常体(だ・である調)
堅く、冷静な印象を与えます。
「です・ます調」に比べると文字数が少なく済むことがメリットです。
文章をまとめやすくなるので、論文を書くときにも用いる語調です。
最大のデメリットは、読み手との距離が遠くなることです。
読み手を切り捨てるような、決め付けがちな語調に感じるので、苦手な人も多いでしょう。
文章全体に書き手の強い意思があらわれます。
この特徴を活かすには、「なぜそう思うのか」まで書く必要があります。
根拠となる理屈を説明しなければ、主張が伝わらないからです。
裏を返せば、物事を客観的に伝えるのに適している文体でもあります。
反論を許したくない文章に使って、論理的に書くと効果を発揮します。
● 敬体(です・ます調)
やわらかく、知的な印象を与えます。
まるで対話しているような雰囲気で書くことができるのがメリットです。
もちろん、読み手との距離は近くなります。
デメリットは、文末の文字数が増えてしまうことです。
文章の文字数に制限があれば、この語調は使わないほうが良いでしょう。
しかしこれは当たり前の話で、本当のデメリットはまた別のところにあります。
どのような文章でも、文末が長くなるにしたがって伝える力が弱くなります。
敬体は、この性質と表裏一体の関係なのです。
● 常体 : 彼は走る。
● 敬体 : 彼は走ります。
敬体を使うと、たった一文字で済むところを三文字かけて表現しなければなりません。
述語がぼやけてしまうので、強く言い切ることが苦手な語調だといえます。
しかしながら、日常で目にする文章のほとんどは敬体で書かれています。
遠まわしな表現や予防線を張るような書き方さえしなければ、不自由することはないでしょう。
最後に
常体と敬体に優劣はありません。
それぞれの文体に適した文章があり、適した書き方があります。
このことを理解して、上手く使い分けられるようになることを目標にしましょう。
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