場面の意義
今回は、場面の意義について考えます。
作中に描く場面に無駄があってはなりません。
そのすべてが、物語にとって欠かせないものでなければならないのです。
書き手がこれを自覚するためにも、場面にどのような意義があるかを考える必要があります。
場面の意義は、大きく分けて2つあります。
まずは、構成する上で必要である場合です。
書き手が望んだとおりの物語にするために、必ず描かなければならない場面です。
たとえば、物語を進めていく上で「登場人物が住んでいる街の歴史を知る展開」があったとします。
どのような場面を描くかは書き手次第ですが、「図書館で調べる場面」や「昔から住んでいる人に話を聞く場面」などが必要になってきますね。
これがなければ物語が展開しないと考えれば、その場面の役割は明確です。
言いかえれば「義務的な場面」であり、場合によってはやむを得ず描くこともあるかもしれません。
しかし、嫌々ながら書いたり、乱雑に消費していてはもったいないですね、
登場人物の詳細を提示したり、伏線として活用したりと、物語をより良いものにする工夫を凝らすと良いでしょう。
もうひとつは、書き手のこだわりを表現する場面です。
小説を書いていると、「どうしてもこの場面を描きたい」という欲求にかられることがあります。
この欲求を満たすべく描いた場面は、物語の「核」になります。
前述した「義務的な場面」とは違って、書き手としての積極性をもった「自主的な場面」です。
伝えたいことを暗示したり、作品を標榜するような印象的な内容をそこに描きます。
こうした場面を描くことは、表現する喜びを得るための作業そのものでもあります。
書き手としては、小説家らしさを表現できるこの場面により一層力を入れて執筆するでしょう。
こうした「場面の意義」への理解は、構成に対する考え方に大きく影響します。
構成上、「自主的な場面」は「義務的な場面」に支えられることになるでしょう。
伝えたいことが書かれている場面が主役だとすれば、他の場面はそれを支え、引き立てる役割を担うのです。
ただし「どちらが優位であるか」という話ではありません。
異なる場面同士にほころびが出ないよう繋いだり、文量のバランスをみたりと、全体のバランスを見ながら構成を考えるのも書き手の役割です。
総合的にマネージメントするためにも、書き手は場面の意義を意識しながら執筆しなければならないのです。
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