主人公以外の登場人物を考える
今回は、一点豪華主義の小説を防ぐための対策について考えます。
主人公に重きをおいた作品が、総じてつまらないわけではありません。
しかし視点が強く固定されていると、物語はどうしても平坦になり、奥行きのない作品になってしまう確立が高くなります。
そうならないためには、主人公以外の要素を作品に取り入れることがもっともかんたんです。
扱いやすいのは、登場人物の存在です。
たとえば、このような話があったとします。
主人公の女性が、夫とケンカをして家を出ていった。
子どもの手を引きながら、生まれ育った故郷に訪れたときのこと。
買い物をするためにスーパーに立ち寄ると、昔付き合っていた彼氏と遭遇した。
お互いの近況を報告しながら、思い出話に花を咲かせていた。
二人の話を遮るように、子どもが「パパは?」とたずねた。
このとき、主人公以外の登場人物がどのような役割をもっているかを考えましょう。
● 昔付き合っていた彼氏 ⇒ 過去を追憶するための役割
● 主人公の子ども ⇒ 現在、そして未来をつかさどる役割
素人でも、「元カレの登場」くらいは思いつくでしょう。
恋愛要素を折りこむにも最適であり、「いけない関係」がもたらす人間の欲求や葛藤を描くことができるからです。
しかし、単なる青春の回想録になってしまうと、味気なくなってしまいます。
だからこそ、子どもの存在がポイントになるのです。
前提となっている夫の化身であり、今の状況を象徴するのが子どもの存在です。
この要素がキーとなることで、物語の構成がエキセントリックになり、主人公の内面がより複雑になるのです。
主人公以外の要素は、作品に複合的な視点をもたらすのです。
中心に描くのが主人公であることはブレないにしても、それのみの作品だと書き手自身ですら物足りなく感じるはずです。
扱いやすいのは登場人物ですが、モノでも、場所でも、状況でも良いでしょう。
作品の内容を活性化するには、主人公以外の要素が必要不可欠なのです。
登場人物の存在が、物語にどのように作用するかを考えましょう。
そうすると、主人公だけに重きをおいた「一点豪華主義の作品」を未然に防ぐことができるはずです。
平坦な物語ではなく、立体的で奥行きのある広々とした世界を描きましょう。
■ 参考
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