執筆とタバコ

 

現在、私はタバコを吸っていません。

いわゆる「禁煙」に成功してから、2年ほど経過しています。

もうすでに「タバコを吸いたい」という欲求はなく、誰かに喫煙をおすすめするつもりも一切ありません。

この前提をもって、今回は「執筆とタバコ」について考えましょう。

 

 

当時の私にとってタバコは、文章を書く上での必須アイテムでした。

 

 

執筆という作業は、身体的な変化をもたらしづらく、時間をかけるほど集中も途切れてしまいます。

(少なくとも私にとっては)どうしても散漫になりがちな作業なのです。

しかしタバコがあれば、その作業に区切りをつけることができます。

たとえば「5000文字書いたら1本吸う」や「文章が仕上がったら1本吸う」など、執筆にメリハリがつくのです。

 

ご存知のとおり、「喫煙」という行為は、心身にリラックス効果をもたらします。

 

タバコを吸っている間に文章の構成を考えることができたり、タバコを1本吸い終えることが作業を開始する合図になったりもしました。

そして作業を再開したときには、とても新鮮な状態で書きはじめることができました。

今になって考えると、おどろくほど効率良く活用していたと思います。

 

もちろん、タバコを切らしてしまえば近くのコンビニまで買いに行かなければなりません。

私の場合、部屋にこもって仕事をすることが圧倒的に多いため、実はそれもまたちょうど良かったのです。

私にとってタバコを買いにいくタイミングは、数少ない「外出する機会」でもありました。

歩きながら煩雑になった考えをまとめたり、世の中から身体的な刺激を与えられたりと、タバコきっかけの外出が良いリフレッシュになったのです。

 

心身が依存していたことはもとより、執筆活動そのものがタバコに頼っていた状態ですね。

かつての私は「執筆とタバコは相性が良い」と思っていましたし、これを疑うことすらもなかったのです。

 

 

しかしながら、とあるきっかけによりタバコを絶つことになり、そこで気が付きました。

前述したメリットのようなものは、すべて「喫煙者にありがちないいわけ」でしかありません。

 

 

タバコを吸っている書き手は、そうでない書き手よりも高いパフォーマンスが出せるのでしょうか。

科学的なことは専門外ではありますが、一般論としては考えづらいですね。

「非喫煙者の書き手」だって各所で活躍していますし、周囲の書き手をみても(私が知る限り)喫煙者はいません。

だからこそ、当時の認識は「タバコを吸う自分を正当化するためのもの」だったと総括しています。

 

さらに個人的な感覚でいえば、タバコを吸っていない現在のほうが高いパフォーマンスを出せているように感じています。

今のところ、「タバコをやめて効率が悪くなった」という実感は一切ありません。

むしろ「タバコきっかけ」で執筆しなくなったため、より高い純度を保ちながら筆が進んでいる気がします。

もちろん禁煙に成功したことだけが要因ではありませんが、実際のところ売上も伸びています。

 

タバコを吸っていたかつての私にこの記事の内容を伝えても、おそらく聞く耳をもたないでしょうね。

結論からいえば、やりたいようにやればいいと思います。

その書き手にとってタバコが重要な執筆アイテムであれば、無理して禁煙する必要はないでしょう。

 

実は現在でも、タバコほど手軽にリフレッシュできるアイテムを見つけられていません。

それも含め、やはり個々が好きなように判断すればいいのです。

ただし、「執筆活動にタバコが必須」というのは単なる思い込みに過ぎない可能性があります。

仮に少しでも「禁煙に成功した自分」に憧れる気持ちがあるのなら、この記事がきっかけになればと幸いです。