サスペンス効果を取り入れる【ジャンル問わず】【引きつけるための仕掛け】
物語を読ませるには、サスペンスが必要です。
ここでいう「サスペンス」とは、大枠のジャンルを意味しているわけではありません。
ミステリーやハードボイルド、スリラー作品などに限らず、どのジャンルにも取り込める要素としてのサスペンス効果です。
今回はこのことについて考えていきましょう。
物語への関心のため
まず「サスペンス」という言葉について考えてみましょう。
創作でいうところのサスペンスとは「心を宙吊りにすること」を指します。
具体的には、作中で不安や緊張をあおることによって、読み手の心理状態を不安定にするわけです。
サスペンス効果を物語に取り入れる、つまり「あえて不安定な心理状態を演出する」ことには、当然ながら意味があります。
心理的な不安や緊張が生じたときは、できるだけ早く正常な状態に戻ろうとしますね。
この心の動きは、作品に対する求心力はもちろん、次のページを開かせるための推進力となります。
サスペンス効果を取り入れることは、物語に対する読み手の関心を高めるにあたってとても有効な方法といえます。
サスペンス効果の具体例
ここでいくつか具体例を挙げてみます。
サスペンス効果として代表的な3つの例を見ていきましょう。
まずは「謎」です。
たとえば「主人公が訪れた街の住人が、皆暗い顔をしていた」としましょう。
物語に謎が設定されれば、読み手はそれを説き明かしたくなるはずですね。
この不可解な要素を解消するべく、街の住人が暗い顔をしている相応の理由を求めて物語が読み進められます。
次に「結果」です。
特定の状況において、なんらかの目的に沿って挑戦するプロセスを盛り込めば、読み手は「最終的な結果」を知りたくなります。
「時限爆弾が設置された」「好きな人に告白する」「地下室に閉じ込められた」「大事なライブを成功させたい」「不治の病に侵された」などさまざまです。
読み手の立場になって、これらの結果が気になって仕方なくなるよう物語を展開させていくわけです。
するとその間は、物語の世界に対する求心力を維持することができます。
最後は「人物」です。
上記までの2つは、どちらかといえば物語の構造に取り入れる要素でした。
しかし場合によってはプロットの都合から取り入れるのが難しいこともあるでしょうし、とくに純文学作品の場合はエンタメ色がついてしまうことを避けたい書き手も多いはずです。
そのときは、人物設定からアプローチしてみましょう。
たとえば「幼少のころから特異な考えをもった主人公」を描き、一般社会に放り出してみるのです。
どのような関係性を周囲と築くのか、どのように生活していくのかが気になるはずですね。
これもまた、サスペンス効果を活用した例といえるでしょう。
「書き手なりのサスペンス」を
前項に挙げたものは、あくまで代表的な例でしかありません。
サスペンス効果としてパターン化されているものは多数ありますが、セオリーに縛られる必要はないのです。
飛躍して考えれば、読み手に「これからどうなるんだろう?」と思わせることができればサスペンス効果は成功といえます。
物語の設定からくるものもあれば、展開によってもたらされるものもあります。
登場人物が読み手の興味を引くこともあれば、作中で扱うモノやコトに関心が高まる場合もあるでしょう。
書き手の工夫次第で、サスペンス効果はいたるところに設定することができます。
創作するのが”物語”である以上、「サスペンスに向かない作品」は存在しません。
冒頭にあったように、これはジャンルの垣根を越えたところで考えるべき内容です。
自分の作品と向き合いながら、読み手を引きつけられるような仕掛けを取り入れていきましょう。
■ 参考
[itemlink post_id=”4155″]
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません