心理描写と心情描写の違い

今回は、心情描写と心理描写について考えます。

どちらも、登場人物の内面を描写した文章を指す言葉ですね。

これらについて、使い分けがあいまいになってはいないでしょうか。

もしくは、「どちらも同じことだ」と解釈している人もいるかもしれません。

実のところ、心情描写と心理描写とでは、意味が違ってくるのです。

これについて考えていきましょう。

まずは、心情描写について。

心情というくらいですから、登場人物の感情が主軸となります。

読んで字のごとく、心で思ったことを描くのが心情描写です。

次は、心理描写です。

こちらも広い意味では「心で思ったこと」ではありますが、感情を垂れ流すというわけではありません。

「心理」は、ロジカル(理論的)に考え事をしている状態と捉えましょう。

つまり、頭で考えたことを描くのが心理描写です。

今の時点では、あまりピンとこないかもしれませんね。

例として、就職面接を思い浮かべましょう。

志望理由について、次のようなことを考えました。

● この会社で自分のスキルを活かして活躍すれば、社会に対して多大な貢献ができるから。

⇒ 心理描写

● 求人広告に書いていた給料が良かったし、楽そうだったから。

⇒ 心情描写

どちらも内面で思った(考えた)ことであり、内容にウソはありません。

これが、心情描写と心理描写の大まかな違いです。

もちろん、それぞれの役割には重なる部分があるため、論者によってはまったく別の分け方をすることもあり得るでしょう。

ただ、内面で思った(考えた)ことには、さまざまな階層があることは確かです。

「本音と建前」や「本意と不本意」、「強がりと弱音」や「意識と無意識」……

あるいは、「すべてを俯瞰する心境」も含まれるでしょう。

このように、人間の中にあるものはとても複雑なのです。

書き手としては、こうした内面を区別しておいたほうが良いでしょう。

すべてを理解することはできなくとも、できる限り努力すべきです。

使い分けがあいまいになればなるほど、登場人物の内面はぐちゃぐちゃになってしまいます。

心理描写と心情描写の違いを自覚することで、描写を使い分けるヒントを得ましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする