登場させる人数の目安
作中に登場させるのは、どのくらいの人数がベターなのか。
これは、ストーリーの構成そのものに直結することであり、書き手は真剣に取り組まなければなりません。
今回は、作中に登場させる人数の目安をご紹介します。
1人だと難しい
登場人物が1人(主人公、もしくは語り手のみ)という作品はあるものの、ほかの人物の要素が入っていないとなるとごく少数です。
(作者は「小説」と称していても、実態として小説とは呼べない作品も含まれてきます)
エキストラ的な他人も登場せず、主人公の回想シーンもない。
たとえショートストーリーであっても、その状態で物語を展開させていくとなると非常に難しいことです。
もちろん、登場人物が1人(主人公、もしくは語り手のみ)の小説を成立させることは不可能ではありません。
ただし、その物語は主人公が淡々と何かをこなすだけの作品になるでしょう。
読み手がそれを「おもしろい」と感じるかどうかは未知数ではありますが、主人公からみた「他人」が登場しない物語は成立させること自体が困難です。
2人だとわざとらしい
「1人」では成立が難しいのなら、もう1人増やせばいい。
たしかに、登場人物が2人いれば、格段に書きやすくなります。
主人公を活かしたり、ストーリーを展開させたり、読み手が知っておくべきことを説明させたりと、さまざまな役割を任せられるからです。
しかしそうした書き手の意図のほとんどは、読み手に筒抜けです。
せっかく描いた登場人物が、主人公を投影する「鏡」や「操り人形」として、都合の良い扱いにとどまるのはあまりにも芸がありません。
それぞれを引き立てる要素や、「2人でしか描けない何か」があって初めて成立します。
わざとらしくならないように、主人公以外の登場人物の存在意義を確立させましょう。
3人であれば……
では、「主人公+2」の3人に増やせばどうでしょう。
3人程度であれば、それぞれの設定・設計にこだわった上で、ストーリーの中でキャラクターを引き立てられそうですね。
また、登場人物に与えられる役割を分担できるため、書き手にかかる負担も軽くなります。
そう考えると、成立させやすいのは3人からということになります。
しかし、どのような長さの小説を書くかにもよりますが、登場人物が3人となるとストーリーが薄くなりがちです。
ダイナミックに展開させたい場合は、登場人物以外のもので描くことも視野に入れなければなりません。
書き手のアイディア、工夫の凝らし方がポイントになるでしょう。
思い切って、5人なら?
そこで、登場人物を5人まで増やしてみましょう。
5人もいれば、描写の回数が増え、展開も多様になります。
作品に厚みをもたらすことができるでしょう。
ただし、このあたりから登場人物の管理が難しくなります。
それぞれの人格やその描き方、こなすべき役割、ストーリーとの整合性など、注意すべきポイントは多々あります。
人数が増えるにしたがって、これらすべてを個々にマネージメントしなければならないのです。
この部分を乗り越えれば、5人程度の数がもっともバランスをとりやすいかもしれませんね。
短編であれば難しいでしょうけれど、長編となれば5人登場させることも十分選択肢に入ってきます。
それ以上は?
たとえば、10人を超えるとなると大変です。
なぜなら、増えた人数だけ、書き手が考えるべきことも増えるためですね。
同時に、すべての登場人物を認知させるという意味では、読み手にも負担をかけることになるでしょう。
これもまた工夫を強いられますね。
とくに、ストーリーへの組み込みについては、綿密に計算した上で行わなければなりません。
そのため、おのずと中・上級者向けになります。
最後にまとめましょう。
登場人物は最低3人から、多くても5人程度に絞るのがベターです。
もちろん、これは目安でしかなく、書き手は「自由」であることが前提です。
解釈にもよりますが、世の中の小説には登場人物が「0人」のもの、なかには「500人」を超えるものだって存在するのですから。
また、適切な人数は小説の長さによっても変わります。
「何人の登場人物を設定するか」を考えるとき、この記事の内容を参考にしてください。
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