小さな願望で展開する
今回は、この記事に関連する内容を具体的にご紹介します。
登場人物の「願望」を小説に盛り込むとき。
とくに、場面を展開するために願望を用いるときに、おさえておきたいポイントがあります。
それは、「小さな願望」を設定するということです。
場面を展開するにあたって、カギとなるのは大きな願望ではありません。
登場人物に与えるべきは、小さな願望なのです。
物語の主人公が、「教師になることを夢見る高校生」だとしましょう。
「教師になりたい」という夢があれば、大学受験や教育実習、教員採用試験など、さまざまな場面に展開できるのは事実です。
ただし、これではあまりにもざっくりとした場面展開になっていて、使い勝手が良いとはいえません。
原因は明白で、「教師になりたい」という夢が大きな願望だからです。
小さな願望を設定すれば、もっと細かな場面を展開することができます。
たとえば、夜中の受験勉強中にのどが乾いた主人公が、「どうしてもコーラを飲みたい」と思いました。
しかし、家の冷蔵庫にコーラがなく、近くのコンビニまで出かける必要があったとしましょう。
するとここで、「夜中に家を出る状況」を作ることができます。
家を出てしまえば、夜空や夜道の様子を描写したり、そこで何らかのハプニングを起こしたりといった、さまざまな場面展開の選択肢が広がります。
それをもたらすのは、「どうしてもコーラを飲みたい」といった小さな願望なのです。
もう少し、具体的に説明しておきましょう。
場面を展開するためには、登場人物に動きを与える必要があります。
登場人物を動かすには、何らかのきっかけを作らなければなりません。
そこで、小さな願望が有効になるのです。
自然に盛り込みやすいのは、日常にある願望です。
「眠たい」「飲み食いしたい」「あの子に会いたい」といった原理的な欲求からくるものは、とくに扱いがかんたんです。
「トイレに行きたい」といった生理的な反応も用いるのもアリですね。
日常的な行動であれば、読み手はそれをスムーズに受け入れることができます。
誰にでもある小さな願望ですから、理由も根拠も必要ありません。
書き手がこれを取り入れることで、いつでも好きなように物語を進めることができるのです。
場面をつなぐ接着剤として、小さな願望を活用をしてみてはいかがでしょうか。
■ 参考
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