【存在意義】「その他」の登場人物【設定を考える】
主人公やヒロインの設定には力を入れるはずです。
物語に敵役がいれば、その描き方にも工夫を凝らすでしょう。
しかし「町人A」「通行人B」「先客C」など、場面に居合わせた登場人物の描き方はそっちのけになりがちです。
今回は「その他」の役回りを担う登場人物について考えましょう。
登場するからには理由がある
人物が場面に登場するとき、2つの理由が必要です。
ひとつは、その登場人物が必要とされる理由です、
「いてもいなくても変わらない登場人物」であれば、あえて書く必要はありません。
なんらかのかたちで物語に作用させるべく、書き手は登場人物に「存在意義」を付与します。
物語を書く上では必須であり、登場人物が存在する前提となる部分ですね。
小難しい表現にはなってしまいましたが、これは思ったよりも自然に実現できるはずです。
もうひとつは、場面に居合わせた理由です。
「その場にいるはずのない人物」に読み手は混乱するため、物語を書く上ではとても重要です。
しかし書き手は、この「場面に居合わせた理由」を見落としがちです。
登場人物の動きに整合性をとらなければ、その場面はおろか、物語自体が破綻しかねません。
今回は、後者の理由について考えていきます。
登場人物を設定を考える
たとえば主人公が、「平日の昼間にファミレスに入った」としましょう。
主人公が入店したその店舗には、何人かの先客がいました。
例
● 先客A サラリーマン
● 先客B OL風の女性
● 先客C,D,E 女子高生
土日ならまだしも、この場面は「平日の昼間」です。
場面の立て付けが破綻しないよう、その場に居合わせた理由を考える必要があります。
それぞれの設定を考えて整合性をとりましょう。
例
● 先客A サラリーマン
⇒ “営業マン”がレストランで休憩している。
● 先客B OL風の女性
⇒ “休憩時間に外出”して食事をとっている。
● 先客C,D,E 女子高生
⇒ “夏休み期間”に、友達3人で談笑している
上記のように、それぞれの設定を細部まで考えます。
まさに「場面に居合わせた理由」ですね。
これがなければ読み手がファミレスの場面の違和感を覚えたり、ややもすると成立しなくなったりと、さまざまな不具合が生じます。
書き手はこの設定を怠ることなく、きちんと考えながら場面を構築しましょう。
すべてを描く必要はない
細部まで考えこんだ設定ではあるものの、そのすべてを文章化する必要はありません。
書き手は「読み手に伝える部分」と「そうでない部分」を選別しましょう。
前項の例でいえば、ファミレスにいた先客全員を描写する必要はありません。
書き手の目論みとして「舞台が夏であること」を読み手に示したかったとします。
その場合は「女子高生」に着目することで、そこから今が「夏休み期間」であると言及できます。
もちろん「先客の存在」が物語に影響しないのであれば、「平日とはいえランチタイムはやはり賑やかだった」などといったように意図的に触れないこともできます。
すべての設定を読み手に伝える必要はありません。
読み手に必要な情報だけを選んで、的確に描いていきましょう。
■ 参考
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