不要な名詞句を書かない
文章において欠かすことのできない存在のひとつが、名詞句です。
これは、文法上の立ち位置に限ったことではありません。
動詞を名詞化する作用をもつので、書き手にとってもありがたいテクニックでもあります。
ただし、不要なものまで名詞句にしてしまう事態は、避けなければいけません。
① 5kg痩せることを目標にしている。
② 5kgの減量を目標にしている。
どちらの例文も正しい文章で、ほとんど同じことを意味しています。
しかし読んでわかるとおり、言い回しに違いが見られますね。
①では「動詞+こと」で、「痩せること」という名詞句をもちいています。
一方で、②の場合はシンプルに「減量」という名詞をもちいています。
わかりやすい文章を書くためには、この違いを理解した上で使い分ける必要があります。
それができなければ、次のような文章を書いてしまうかもしれません。
「動詞+こと」という名詞句が、一文のなかで2回使われています。
意味の重複が起きていないのでミスであると断言はできませんが、用法が重複していることは事実です。
同じような語感が連続すると、読み手に単調な印象を与えてしまいますね。
改善しましょう。
A. 責任逃れは、自身の成長をさまたげることにつながる。
B. 責任を逃れようとすることは、自身の成長をさまたげてしまう恐れがある。
AとBを見てみると、どちらも名詞句の使用は1回のみです。
その代わりに「責任逃れ」や「恐れがある」と表現することで、原文にあった単調さをなくすことができているのです。
なにより不要な名詞句を書かないことで、構造がシンプルになりました。
原文と比べて、どちらが良い文章かは明白ですね。
名詞句そのものが、悪い表現だということではありません。
要するに、使い方の問題です。
これを考えなしに使いすぎてしまうと、わかりづらい文章になってしまいます。
不要だと思う名詞句があれば、他の表現に変えることを選択肢にいれましょう。
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