不十分な根拠でも、説得力を向上させる工夫
日常生活では、十分な根拠を提示できない中で相手を納得させなければならない状況があります。
説明する時間がなかったり、そもそも根拠として扱える材料がそろっていなかったり、シチュエーションはさまざまです。
このことについては、文章を書くときも同様です。
場合によっては、論理を飛躍しなければならないことがあるのです。
たばこ増税に反対する理由として、「生活が苦しい」ことを挙げています。
素直な意見ではありますが、これでは個人の感想を述べただけです。
本来であれば、このような書き方をするのが望ましいです。
過去にあったたばこ増税後のデータを見ると、税収はこのように推移している。
~ データ ~
以上のデータから、たばこ増税によって税収が減っていることがわかる。
加えて、酒税法の改正により酒類の価格が値上がりした。
そのため、このタイミングで嗜好品を増税してしまえば、購買意欲のさらなる低下が懸念される。
したがって、たばこ増税には反対だ。
この例文では、次のような手法をとりました。
● データから得られる傾向をもちだす
● 比較となる他の例を関連させて、主張につなげる
このような書き方をすれば、まとまった考えを伝えるには十分でしょう。
しかしながら、取り扱うテーマによっては書き手の思い通りにいかない場合があります。
書かなければいけない状況に変わりはないのに、材料となるデータが得られなかったり、比較となる他の例がなかったり、そもそも時間が足りない場合などです。
そのような自体に陥ったとき、倫理を飛躍させることを選択肢として考えはじめるのです。
一度でも増税した嗜好品は値下げが見込めないため、安易なたばこ増税には反対だ。
理由として掲げたのは「生活が苦しい」ではなく、「一度でも増税した嗜好品は値下げが見込めない」という文言です。
希望的観測でしかありませんが、それでも説得力を感じさせるのは、上手に論理を飛躍しているからです。
改善文では、市場の傾向をもちだしました。
証拠やデータの記載はありませんが、過去に増税された嗜好品の動向をみると、値下げや減税は見込めないのは事実です。
それにより、全体を客観視しながら消費者の気持ちを考えている印象を与えることができます。
主張の本質はかわっていないものの、文章の説得力を向上させることにつながるのです。
つまり、根拠となる材料がそろっていないときは、傾向や動向をもちだすことが、上手に論理を飛躍させるポイントなのです。
もちろんこれは十分な根拠を記載したわけではないので、ベストではありません。
しかし、ベターではあります。
状況に応じて、書き方を工夫できるようになりましょう。
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