描写するときには「五感」を意識する

 

シーンを描写するときは、書くべき情報がいくつかあります。

結論からいうと、五感です。

読み手の感覚に訴えかける情報を盛り込むことにより、臨場感が溢れる文章になります。

例文をみて考えていきましょう。

 

 

原文

私にとっての母の味は、野菜炒めだ。

母が作る野菜炒めは、病みつきになるおいしさだ。

 

この文章には、「書き手が思ったこと」が書かれています。

情報が不足しているため、これでは味気ないですね。

五感を書き加えて、描写してみましょう。

 

 

改善文

私にとっての母の味は、野菜炒めだ。

小さいころは、トントンと小気味よく野菜を切る音を聞くだけで、胸が高鳴っていたのを覚えている。

いざ目の前に運ばれてくると、醤油の香り赤や緑の色合いが食欲をかきたてる。

少し濃い目の味付けシャキシャキとした歯ごたえは、病みつきになるおいしさだ。

 

ここで書き足されたのは、「音」「匂い」「色」「味」「食感」です。

書き手の感想でしかなかった原文が、立体的になりました。

読み手の感覚を刺激する文章になったのです。

 

これこそが、描写の基本です。

ただ思ったことを並べるのではなく、五感に訴えかけるような情報が必要です。

書き手の主張や感想だけでなく、「聴覚」「嗅覚」「視覚」「味覚」「触覚」を意識して書くことが重要なのです。

 

映画製作にたとえて考えてみましょう。

モノクロの無声映画には独特の趣があり、今でも私たちに魅力を感じさせます。

しかし製作者としては、音響やCGにもこだわったカラーの映画を作れるようになりたいものですね。

表現の幅を広げるためにも、五感に訴えかけるような文章を書きましょう。

 

コラム

Posted by 赤鬼