「雰囲気」から匂いを表現する
匂いを詳しく表現することは、かんたんではありません。
今回は、匂いの表現について一歩下がった状態で考えてみます。
結論からいえば、詳しく説明することをあきらめてしまいます。
あえてあいまいに表現することで、また違った角度から匂いを扱えるようになるでしょう。
例をみながら考えていきましょう。
上品な匂いがした。
表現の具体性には欠けているものの、匂いのイメージを共有することはできますね。
ここが大きなポイントです。
たしかに「上品な匂い」とだけ書いてあれば、表現としては物足りないように思えるでしょう。
しかしながら、匂いを詳しく説明することは必ずしもベターなやり方ではないのです。
たとえば、描写するときのことを考えてみましょう。
ひとつの要素として匂いを取り入れる場合は、説明に力を入れる必要はありませんね。
奇をてらった表現を無理に使っても、かえって読み手の理解を妨げてしまうでしょう。
ダイレクトな表現ばかりを使って説明文のようになった場合は、引き算をする覚悟も必要です。
匂いをひとつの要素として扱うときは、ムードさえ伝わればその役割を十分に果たすことができるのです。
最後に、雰囲気から表現する匂いの例を、いくつか挙げておきます。
● 優雅な匂い
● 都会的な匂い
● 凛とした匂い
● 湿っぽい匂い
● 若々しい匂い
上記の例は「匂い」を「雰囲気」に変えても成り立ちます。
これを利用して、描写に匂いの要素を組み込むのも良いでしょう。
場合によっては、描写に良い影響を与えられる可能性があります。
● 優雅な雰囲気 ⇒ 優雅な匂い
なぜなら、漠然と「雰囲気」とだけ表現していたところに、五感に響く表現を交えられるからです。
つまり、匂いをもって表現すれば、読み手の実感を引き出すことが期待できるのです。
当然のことながら、文脈によっては、適切・不適切が変わるでしょう。
書き手は、文章の前後関係をみながら、総合的に判断する必要があります。
これらを踏まえた上で、ひとつのテクニックとして備えておいてはいかがでしょうか。
■ 参考
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