創作に必要な「2つの想像力」
今回は、こちらの記事に続けて考えていきましょう。
書き手が果たすべき責任として、作品としての体裁を保つこと。
そして、物語から求められたものを理解した上で執筆することをご紹介しました。
ここでは、この内容をより具体的に考えていきましょう。
発想を作品としてまとめるには、書き手の想像力が求められます。
執筆に必要とされる想像力は、主に2種類あります。
まずは、「着想力」です。
着想力とは、かんたんにいえば、物語の設定を思いつく力ですね。
架空の世界や人物、状況を生み出すときには、書き手の着想をもって行われるわけです。
前回のたとえを流用するなら、”『悟空』と『ルフィ』と『アンパンマン』と『ドラえもん』のようなキャラクターが共存する”というのは、書き手の着想力をもって得た設定となります。
もうひとつは、「類推力」です。
展開力とは、着想したものがどのように動いていくのかを想像する力です。
つまり書き手は、『悟空』と『ルフィ』と『アンパンマン』と『ドラえもん』が、どのように絡んで、どのようなドラマをもたらすかを想像して、「最良の展開」を選択しながら物語を進めます。
想像する力が求められる一方で、作品に散りばめたさまざまな条件を加味しながら結果を導くという意味では、論理的な思考が求められる作業でもあるでしょう。
書き手の多くは、着想力を重視しがちです。
しかし本来、良い作品にするために強く意識すべきは、類推力のほうです。
物語の動き方をイメージしておかなければ、ヤマやオチを作ることはもちろん、終わるタイミングを把握することすらできません。
この部分をよく考えずに書かれた作品は、発想を塗り重ねることに注力してしまうため、全体が散らかってしまう傾向にあります。
当然、作品にある要素を必要に応じて削ったり、付け足したりと、作品をブラッシュアップしていくこともできないでしょう。
すると、作品としての体裁を保てなくなり、書き手としての責任を果たすことはできなくなりますね。
どのような小説であっても、書き手の発想をもって表現したものが作品となるはずです。
だからこそ発想に重きをおくのは当然ですが、そこに囚われてしまうと、作品自体が単なる自己満足にしかすぎないものになる恐れがあります。
センスが求められる着想力を磨くことはなかなか難しいですが、ある種の論理性をもった類推力については、どんな書き手であっても伸ばすことができます。
物語の動き方を想像しながら、より良い作品に仕上げていきましょう。
■ 参考
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