【書く仕事】書き手に年齢は関係ない【書き手の寿命】

2020年12月14日

 

書き手のなかには、学生のころから活動を始める人もいれば、定年を迎えてから書きはじめる人もいます。

趣味の領域で書くのだとすれば、自分の実年齢を気にすることはあまりないかもしれません。

しかし仕事にするとしたら、社会につながりをもつということです。

自分の年齢を鑑みて、「歳をとりすぎているのでは?」と、ぼんやりとした不安感を覚えることもあるでしょう。

そこで今回は「書き手と年齢」について考えてみます。

 

 

年齢は関係ない

日本を代表する小説家、村上春樹先生がデビューしたのは30歳を過ぎてからです。

近年大ヒットを記録した『おらおらでひとりいぐも』の作者、若竹千佐子先生は63歳で文藝賞を受賞、同作で芥川賞を受賞しました。

芥川賞といえば、黒田夏子先生が同賞を受賞した年齢は75歳です。

 

つまり、書き手になるにあたって年齢は関係ないのです。

例に挙げた「小説家」という職業は、書き手のなかでも特殊なようにも思えます。

しかし「ライター」「ブロガー」「同人作家」「WEB小説家」の場合でも、基本的に変わりはありません。

仮にあなたが早く世に出ることができていないからとしても、あせる必要はないのです。

 

 

若さは武器になる

今度は、”若くしてデビューした書き手”を挙げてみましょう。

人気作家の羽田圭介先生は、17歳で文藝賞を受賞しました。

綿谷りさ先生も17歳で文藝賞を受賞、19歳のときに芥川賞を受賞し、2020年現在の最年少記録となっています。

文藝賞つながりでいえば、三並夏先生はなんと15歳という若さで小説家になっていますね。

 

もちろん、若くして才能を認められるのも手放しで喜ぶことはできません。

残念なことに、”若い書き手”というだけで、周囲の人間ないし社会から乱雑に消費されてしまう側面はあります。

(身近にいる大人たちがしっかりサポートすべきことですね)

扱いに対する違和感や抵抗感はあるにしても、すでに年齢を重ねている書き手が二度と取り戻せない「時間」をもっていることはたしかです。

だからこそ、「若さ」は強力な武器になるのです。

書き手人生が今後も続いていくと仮定すれば、「時間」というこれ以上ないアドバンテージをもっているといえるのです。

 

 

書き手の寿命

「20歳」と「40歳」の小説家を思い浮かべてください。

違いは”年齢”だけで、そのほかはまったく同じスペックとします。

もちろんこの二人は、まったく同じ筆力をもち、まったく同じ作品を書きます。

書き手としての活動が続いていくことを考えたとき、どちらが有利な立場にあるでしょうか。

 

極端すぎる条件設定ではありますが、有利なのは20歳の書き手ですね。

しかしここで注目したいのは、「書き手の寿命」です。

 

書き手として長生きするためには、時間がたくさんあったほうがいいに決まっています。

ただし、書き手の寿命とは「若ければいい」「年を重ねると厳しい」「早くデビューしたほうがいい」というわけではありません。

個人が文章を書くペースや、それを世に送りだすタイム感は、人によってばらつきがあります。

世間からのニーズはもちろん、執筆する媒体によってもそのスピードやスパンは変わってくるでしょう。

活動のサイクルをいかに回転させるかによって、書き手の寿命は左右されます。

 

 

寿命をのばしていこう

若いうちにデビューできたとしても、その後まったく書けなく(書かなく)なってしまうことも少なくありません。

書き手が執筆以外の道を見つけたのだとしたら、他人が文句をつける筋合いはなく、個人の選択を尊重すべきです。

ただし、もしも本人が「書くこと」に対してこだわりが残っているのなら、執筆から離れてしまう状況は本望でないはずです。

あえて悪い表現を使うとしたら、活動サイクルがぴたりと止まり、書き手の寿命が尽きてしまうわけです。

そうであるならば、年齢を重ね、生活が落ち着いてから書きはじめたほうが、結果として書き手の寿命がのびることだってあるのです。

 

もちろん「まったく同じ書き手」は一人として存在しません。

活動の在り方はケースバイケースで、良し悪しで安易に判断できることではありません。

 

しかしそう考えると、やはり「書き手に年齢は関係ない」と帰結するのです。

だからこそ、実年齢ではなく、「書き手の寿命」をのばしていくことが大切なのです。

活動サイクルをフル回転させることで、書き手人生の濃度や密度はぐんと高くなります。

充実した人生を送りながらも、しっかりと長生きしつつ、書き手の寿命をまっとうしましょう。