言葉の意味を考えて重複を防ぐ

 

文章において、書き手の無知が引き起こすミスであれば、ある程度許容できるという見方もできます。

発覚したその場で学べば良いのですから、二度と同じことは起きないしょう。

 

しかし意味の重複が起きている場合は、少し事情が変わってきます。

書き手が気付きづらい上に、言葉の意味をしっかり考えれば誰でも防ぐことができるミスです。

だからこそ、意識して避けなければいけないのです。

 

 

原文
 このレストランは人気店なので、あらかじめ事前に予約しなければいけません。

 

この文では、3つの重複が起こっています。

「あらかじめ」「事前に」「予約」ですね。

 

和語の「あらかじめ」と、漢語の「事前に」は、意味がほとんど同じです。

それに加えて「予約」にも、「前もって」という意味が含まれています。

このように、言葉の意味をていねいに考えれば、重複は避けられるのです。

 

 

 

改善文

このレストランは人気店なので、

① ……あらかじめ席を確保しなければいけません。

② ……事前に席を確保しなければいけません。

③ ……予約しなければいけません。

 

表現のバリエーションはさまざまですが、どの文も意味の重複が起きていないことは確かです。

 

「極端な例だ」「さすがに間違えることはない」と思われるかもしれません。

それでは、以下のような場合はどうでしょうか。

 

 

 

原文
 彼の行為は、脱税として見なされている。

 

問題がある表現を見つけられましたか?

「見なされている」には、本来「~として見られている」という意味が含まれます。

つまり「として見なされている」を紐解くと、意味の重複が起きているのです。

 

 

 

改善文

彼の行為は、

① ……脱税として扱われている

② ……脱税と見なされている。

 

このように表現すれば、重複が起きずに済みますね。

 

文章を組み立てるとき、語呂の良さや見た目のバランスばかりを見てはいませんか?

言葉を漠然と扱ってしまうと、意味の重複が起きてしまう恐れがあります。

 

それを防ぐためには、書き手自身が語彙力を高めるとともに、その都度気をつけながら書くしかありません。

ノリノリで勢いよく書いているときは自分を見失いがちなので、特に注意が必要ですね。

ひとつひとつの言葉の意味を考えながら、ていねいに書きましょう。

 

Posted by 赤鬼