「大人の文章」を書くために
文章には、子どもっぽい表現を使うべきではない場合があります。
これは、なにも「書く仕事」に限ったことではありません。
一般的な社会人であれば、自分の文章が稚拙でないように見せる必要があるのです。
例を見ながら考えていきましょう。
どうやら、市長がこの会社を見にくるらしい。
補助金を申請している会社にとってはチャンスなのかもしれないが、その皺寄せを喰らうのは末端の従業員だ。
日ごろ酷使されている現状も、市長に見せたいところだ。
このままでも、文章の意味は十分に伝わるでしょう。
しかし、少しの工夫を加えるだけで、大人らしさを演出することができます。
書きかえてみましょう。
どうやら、市長がこの会社を視察するらしい。
補助金を申請している会社にとっては良い機会かもしれないが、その皺寄せを喰らうのは末端の従業員だ。
日ごろ酷使されている現状も、市長の目に入れたいところだ。
原文と比べてみると、別の書き手が書いているかのように印象が変わります。
大人の文章を書くためのポイントは3つあります。
ひとつは、漢語を使うことです。
例に挙げた文章では、「見にくる」を「視察」に置きかえました。
漢語を使うことで文章が堅くなるため、大人の文章を書くときには有効です。
場合によっては「見学」でも良いかもしれませんが、対象が市長であるため、「視察」のほうが適切でしょう。
もうひとつは、外来語を日本語に置きかえることです。
「チャンス」を「良い機会」とすることで、この場合も文章は硬くなりましたね。
外来語は「大人の表現」のように思えますが、使えば使うほど文章の品格が下がるとされています。
中途半端に背伸びしているような印象を受けることもあるため、注意が必要です。
最後は、身体にまつわる表現を使うことです。
「見せたい」ではなく「目に入れたい」とすることで、洗練された印象を与えることができます。
「聞く」であれば「耳を傾ける」、「話す」であれば「口を開く」といったように、身体にまつわる表現は数多くあります。
単純な動詞をこれらの表現に置きかえることで、「大人」を感じさせる文章になります。
大人の文章を書くとき、表現を上手に変換できるかどうかは、書き手の語彙力にかかっています。
そのため、意識して書いたとしても、効果はすぐに表れないかもしれません。
しかし、本来はどれも難しいことではありません。
大人らしさを感じさせる文章は、上記に挙げたようなほんの少しの工夫によって成り立っています。
自分が使った表現を読みかえし、そこに「子どもっぽさ」を感じた場合。
今回ご紹介した内容を実践してみてはいかがでしょうか。
■ 参考
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