「的・性・化」で逃げない

2017年6月6日

 

文章において、断定を避けたあいまいな表現は、ご法度です。

「的・性・化」を用いた言葉は、その代表格ともいえる存在です。

 

「~的」

「~性」

「~化」

 

普段から話し言葉として使っていれば、自然に見えるかもしれません。

しかしこれらには、「~のような」「~みたい」「~っぽく」という意味が込められています。

 

 

 

原文
 あのときの奔放な態度は、彼の幼児性を露呈していたのだ。

 

要するに「子供っぽい性格」のことを伝えたいのですが、そのまま書いてしまうと「奔放」や「露呈」という言葉に釣り合いません。

書き手の心理としては、文の印象をくずさないようにと考えた上で「幼児性」としたのです。

 

しかし「幼児性」という言葉は、いい意味にも、悪い意味にも捉えることができます。

物事を伝えるにあたって、これが最適な表現なのでしょうか。

 

 

改善文

A. あのときの奔放な態度は、彼の幼稚な性格を露呈していたのだ。

B. あのときの奔放な態度は、彼の純真な性格を露呈していたのだ。

 

幼児性というあいまいな言葉ではなく、このように表現してみましょう。

AとB、どちらの文にせよ、解釈がぶれずに伝わりますね。

 

 

「的・性・化」デメリットは、あいまいな表現であることだけではありません。

というのも、困ったことに、「的・性・化」は非常に便利なアイテムなのです。

 

「的」は形容詞の語幹として、「性」と「化」は名詞として使用できます。

これらを使えば、思いついた言葉を文章に組み込みやすくなります。

それに加え、意味に含みをもたせることで、言い切らなくてもそれらしく書くことができるのです。

書き手としては、とても楽ですね。

 

しかし、「的・性・化」はあくまでも、手抜きの表現でしかありません。

例文からわかるように、むやみに使ってしまうと解釈がぶれてしまう恐れがあります。

「的・性・化」を使って逃げるのではなく、どうすれば伝わるのかを考えることが重要なのです。

 

Posted by 赤鬼