言葉のレベルを調整する
適切な言葉のレベルで書かなければ、文章は読みづらくなってしまいます。
特に、同じ文のなかで言葉のレベルがちぐはぐになってしまうことは、絶対に避けなければなりません。
原文
顧客からの信頼を喪失したことにより、あの会社は大変な状況になった。
「顧客」と「喪失」は、使う場面が限定される言葉で、難しく感じます。
それに比べて「会社」や「大変な状況になった」は、小学生でもわかる易しい表現です。
言葉のレベルが噛みあっていないので、読んだあとに違和感が残る文章になっています。
これでは、意味をスムーズに理解することができず、読み手は混乱してしまいます。
改善文
A. 顧客からの信頼を喪失したことにより、あの企業は難局に立たされた。
B. お客さんからの信頼を失ったことにより、あの会社は大変な状況になった。
AとBのそれぞれで言葉のレベルが統一されて、ちぐはぐだった文章がまとまりました。
どちらの文も、原文のような違和感はありません。
このようにひとつひとつの言葉のレベルを調整することが重要なのです。
調整のコツは、文章のなかで使った言葉や言い回しを並べてみることです。
別紙でも別ページでもいいので、ずらーっとに並べてみましょう。
そこで違和感を覚えた表現は、文章のなかでも異物のように浮き上がります。
しかし残念ながら、「物差し」のような基準は存在しません
どのレベルに調整するか、その判断は書き手の感覚に頼るしかないのです。
たくさん読んで、たくさん書く。
実践の積み重ねによって、言葉の選び方や合わせ方が洗練されていくのです。
言葉のレベルの調整は、意味をスムーズに理解しやすくするためだけの作業ではありません。
調整したひとつひとつの言葉が文の表情を作り、やがて全体の印象を決定づけるのです。
読み手に合わせた文章になるよう、言葉のレベルを調整しましょう。
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