会話文の補足説明をひかえる
今回は、「会話文」と「地の文」のマッチングに関する内容です。
最初に、結論から示しておきましょう。
会話文の内容を、地の文で補足するクセをつけないようにしましょう。
場合によっては、読み手の楽しみを奪うことになる恐れがあります。
例を見てみましょう。
例文
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」
カズキは眉間に皺を寄せながら口をとがらせ、表情全体で不満を示すように言い放った。
会話文のあとに、登場人物の様子を付け加えて補足していますね。
このように書きたくなる気持ちはよくわかります。
なぜなら、書き手は不安だからです。
このような場合はとくに、「しっかり説明しないと伝わらないのではないか」という心理が働いています。
その不安を取り除くために、説明や描写で補うのです。
いわば、努力した結果であるともいえます。
しかし、考えてみてください。
小説は、場面の連続したつながりで成り立っています。
そのつながりには、展開があり、情景があり、登場人物の心理があります。
あえて説明せずとも、登場人物の様子は流れのなかでしっかり伝わるはずなのです。
むしろ、書き手はそのように仕向けなければなりません。
流れのなかで登場人物の心境を読み取ったり、表情を想像したりすることは、読み手にとって小説の楽しみのひとつなのですから。
しっかり伝えるための努力は、決して悪いことではありません、
しかしながら、書き手が読み手の楽しみを奪ってしまっては本末転倒です。
過度に気合いを入れすぎず、冷静な心持ちで執筆しましょう。
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