文章を現場に結びつける

小説の作品内にある文章は、原則、物語の進行にそって書かれています。

しかしながら、どうにも文章だけが浮いてしまうことがあります。

例を見てみましょう。

たとえば「男性二人が居酒屋で酒を飲んでいる場面」で、このような会話があったとします。

原文

「もっと気遣ったほうがいいぞ、奥さんのこと」

「ムチャ言うなよ。俺だって精一杯努力してるんだから」

実質、僕の提言は無視されたようだ。

書かれている内容は、ありきたりなものです。

一見すると何も問題がないように思えますが、このシーンは「男性二人が居酒屋で酒を飲んでいる場面」でしたね。

ここに書かれている会話は、「居酒屋で酒を飲んでいる」現場とまったく結びついていないのです。

少しだけ、加筆してみましょう。

改善文

「もっと気遣ったほうがいいぞ、奥さんのこと」

「ムチャ言うなよ。俺だって精一杯努力してるんだから」

彼はビールジョッキを乱暴につかみ、中の液体を一気に体へと流し込んだ。

実質、僕の提言は無視されたようだ。

現場を意識した一文を入れる。

これだけで、物語の「現場感」が濃くなるのです。

3、4行程度の文章であれば、その現場や前提を見失うことはそうそうないでしょう。

しかし小説の場合、これが何千、何万文字というボリュームで続いていきます。

情景描写であれば、読み手の意識も現場へと向かいますが、例文のような会話はもちろん、登場人物の内面を描いているときなどは、とくに注意が必要です。

書き手はその「現場」を意識しなければ、読み手は置き去りになってしまうのです。

どのような文章にもいえることではありますが、いつだって書き手は読み手のことを第一に考えなければなりません。

現場や状況、心境も含めて、書き手はツアーガイドのような役割が求められるのです。

読み手を置き去りにしないよう、しっかり現場を意識しながら執筆しましょう。

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