主張の「一般化」には注意

 

書き手は、自分の主張を「一般化」することがあります。

物事を大きく括って語るときには、細心の注意が必要になります。

例を見ながら考えていきましょう。

 

 

原文

幼い子どもの要望は、可能な限り叶えてあげるのが普通だ。

 

例文には、「普通だ」と言い切る表現が使われています。

まさに、主張を一般化しながら読み手に伝えている文ですね。

 

しかし、子どもの願望を叶えてあげることは本当に「普通」でしょうか。

どちらかといえば、「幼児教育の方針はさまざまな立場が存在する」ほうが普通といえるのではないでしょうか。

いずれにしても、一概にはいえない内容です。

 

このように、複数のとらえ方がある物事を一般化すると、押し付けがましい文章になってしまうのです。

修正してみましょう。

 

 

改善文

幼い子どもの要望は、可能な限り叶えてあげるべきだ。

なぜなら……

 

この場合「~べきだ」と表現した上で、「なぜなら……」と理由を述べたほうが、結果として説得力を増す文章になります。

 

主張の一般化は、物事を強く伝えられるという効果があります。

「普通」「常識」「当たり前」を使って表現すれば、読み手はあたかも「そう思わない自分が異端である」と錯覚します。

そのため、積極的に受け入れようという心理が働くのです。

 

しかしながら、「社会通念」とされる概念は、人によっても解釈が異なるだけでなく、時代とともに変化するものでもあります。

つまり、書き手にとってもリスクがある表現方法なのです。

 

例のように、他の表現に置きかえたほうが伝わる文章になることを鑑みても、主張の一般化に大きなメリットがあるとはいえません。

どうしても一般化したい主張があれば、このことを理解した上で、十分に吟味して使うのが前提になるでしょう。

 

Posted by 赤鬼