対立を軸とした表現
読み手の心に残るような、キャッチーな表現。
文章のなかにこうした表現を使うには、コピーライターのような感性が必要です。
「感性」が特別な能力であることは否定しません。
しかし、実のところ、印象的な表現にはちょっとしたコツがあります。
それこそ今回のテーマである、対立を軸とした表現です。
この方法を知るだけで、見違えるような文章を書くことができます。
例文を見ながら考えていきましょう。
中途半端な好意は、余計に人を傷つけてしまう恐れがある。
文が意味するところはわかりますが、少々説明しすぎです。
これでは、なんだか名文っぽいことを書こうとしているにすぎません。
対立を軸とするための、キーワードを探しましょう。
この場合は、「好意」ですね。
これをもとに、対立構造にもっていきましょう。
中途半端な好意は、もはや悪意である。
「好意」に対立させるように、「悪意」という言葉をもってきました。
異なるものを並べて対比させることで、それぞれの意味が際立っています。
このように表現したほうが、シンプルかつキャッチーですね。
原文に比べれば、よっぽど名文っぽい印象を受けます。
伝えたい内容を、あえて逆の言葉で対立させる。
対立させるということは、物事を両面から見ることでもあります。
この発想がとても大事で、書き手として重要な感覚のひとつですね。
一般的な文章にも、応用してみましょう。
① 日本の人口は8年連続で減少している。
② 世界の人口は常に増加しているが、日本の人口は8年連続で減少している。
対立させることで、①だけでは伝わらなかったスケール感が表現できます。
次にご紹介する語句のように、逆を意味する言葉への意識をもちましょう。
大きい ⇔ 小さい
多い ⇔ 少ない
遠い ⇔ 近い
強い ⇔ 弱い
増える ⇔ 減る
広がる ⇔ 狭まる
伸びる ⇔ 縮まる 等
これらを同時に盛り込むことで、文になる言葉の意味に差が生じますね。
その「差」をもって表現することで、読み手の心をダイナミックに動かすのです。
「物事を対立させる」という方法は、魅せるための表現としてはもっとも基本的なものです。
コピーライティングを学んだことのある人であれば、「手垢がついたテクニック」だと思うかもしれません。
しかしこれを執筆に落とし込むことで、表現の幅がぐっと広がります。
バリエーションのひとつとして、もっていたほうが良いでしょう。
■ 参考
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