取材前に「仮説」を立てておく
あらかじめ、取材対象をしっかり調べる。
取材前の準備としては、大前提となる部分ですね。
今回は、これを発展させます。
より良い情報を引き出すために、仮説を立てます。
前回の記事に引き続き、町工場へ取材に良くとします。
取材内容のひとつである「従業員の様子」という項目に、仮説を立てましょう。
・昔ながらの職人の集まり
・作業着の油汚れが経験年数を物語っている
・真新しい作業着を着ていた場合は新人
・同じ目標に向かい、団結して仕事している
・繁忙期は深夜まで作業することもある
「従業員の様子」として、このような仮説を立てました。
インターネットに情報が載っておらず、関係者とのコネクションもない状況で立てた仮説ですから、これは単なる予想でしかありません。
しかしながら、こうした仮説が書き手の取材を助けるのです。
仮説を立てておくことで、注意点の洗いだしや、聞き出す内容の具体化ができます。
・長年努めた職人の集まり ⇒ 昔ながらの技術を駆使した作業風景は、写真に納めることにしよう
・作業着の油汚れが熟練度を物語っている ⇒ 経験をうまく掘りおこせば、面白い話を聞きだせるだろう
・真新しい作業着を着ていた場合は新人 ⇒ 若年層の価値観をどのように融合させているかを探ろう
・同じ目標に向かい、団結して仕事している ⇒ 社長の人柄か、社会貢献への思いか、はたまた待遇なのか、その原動力を探ろう
・繁忙期は深夜まで作業することもある ⇒ コンプライアンスとの兼ね合いを考え、この情報は慎重に扱おう
取材に対する心構えから、どの部分を掘り下げるかまで、検討することができます。
また、ここで挙げた内容には、構成の要素になり得るものもあります。
どの筋で書き進めれば、魅力的な内容になるか。
内容のエッセンスとして使えるものがあるかどうか。
あらかじめ考えておくことで、その内容をピンポイントで取材できるのです。
ここで紹介しているのは、予想を当てるための仮説ではありません。
良い文章を書くための仮説です。
取材をスムーズに行い、内容を濃くすることが目的なのです。
目的を達成するためにも、ひとつの仮説に固執せず、複数の仮説を立てておきましょう。
日数の関係等で、多くの仮説を立てられない場合のほうが多いかもしれませんが、現実的に可能な範囲で良いのです。
いくつかの仮説を立てて、さまざまな可能性を想定することこそが重要なのです。
取材前にこれを行うことで、より深いところにまで考えを及ばせることができます。
少しも予想しないまま出向くとしたら、薄い情報しか得られないでしょう。
これはそのまま、文章のクオリティに繋がります。
取材を検討している書き手は、ぜひ今から実践してみましょう。
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