略語の扱いに注意する

たったひとつの単語が、文章を台無しにすることがあります。

略語を使ったときです。

書く側の当たり前が、読む人の当たり前とは限りません。

略語の解釈に差異が生じたり、そもそも意味が通じなかったりすると、途端に読みづらい文章になってしまいます。

原則として、略語は使うべきではないのです。

読みやすい文章を書くためにも、略語について知ることから始めましょう。

略語には、いくつかのパターンがあります。

ひとつは、地域差のある略語です。

例文

バイクの免許をとるために、教習所に通いはじめた。

例文のように、「自動車教習所」を「教習所」と呼ぶ地域があります。

一方で、「自動車学校」から転じて、次のような呼称を使っている地域もあります。

● 「自車校(ジシャコウ)」

● 「自校(ジコウ)」

● 「車校(シャコウ)」

これらは、地元では馴染み深い言葉だったとしても、地域が変われば大きな違和感を与える言葉になってしまいます。

地域差のある略語は、書き手が気づかないまま使っている可能性もあります。

そのため、注意が必要です。

もうひとつは、口語で使われている略語です。

例文

就活に追われている。

「~活」という表現は多種多様で、「婚活」や「妊活」、「終活」という言葉も使われていますね。

これらは、「~活動」という言葉が省略された形で一般化しています。

呼称や解釈に地域差は少ないのですが、書き言葉としては相応しくありません。

なぜなら、これらの略語が口語として扱われている以上、話し言葉に限りなく近い表現といえるからです。

大きな括りで考えれば、「取説」「百均」「時短」「ケータイ」もそうですね。

格調や品性を重んじる文章はもちろん、公的な性質をもつ文書においても、こうした略語は避けるべきです。

最後に、外来語の略語です。

例文

ソフトが必要だ。

「ソフト」とはなんでしょう。

ソフトウェア、ソフトクリーム、もしくは、ソフトコンタクトレンズかもしれません。

状況によっては、球技のソフトボールを指していることも考えられます。

日本語で扱われる外来語は、多義語になるという特徴があります。

略語ではありませんが、「コート」や「ポスト」、「ブラック」なども、さまざまな意味をもっていますね。

ただでさえ、たくさんの意味をもつ外来語です。

それを略すとなると、誤解が生じる確立が高くなります。

「略語は使うべきでない」という主張をもとに、ここまで進めてきました。

この主張が変わることはありませんが、なかには例外もあります。

● 「経済(経世済民)」

● 「電卓(電子式卓上計算機)」

● 「ボールペン(ボールポイントペン)」

上記はどれも略語ですが、省略する前の言葉が思いつかないほどに一般化されています。

執筆の基本として、文章に略語は使うべきではありません。

ただし、突き抜けてしまった略語はそのまま使うのがベターです。

書き手の感覚に頼る部分は大きくなりますが、しっかりと書き分けられるようにしましょう。

■ 参考

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする