現実世界との整合性
物語を考えるときにぶつかる大きな壁。
そのひとつが、現実との整合性です。
たとえば、物語の主軸に「殺人事件」を盛り込むとします。
“現実的に” 考えれば、通報を受けた警察がすぐに駆けつけてくれるでしょう。
警察の捜査能力や精度、被害者の社会的な関わりから、その事件をクローズドな状態に保つことはできませんね。
もちろん事件の状況にもよりますが、一般人が取り入れる隙もなく解決することのほうが圧倒的に多いはずです。
リアリティをもたせながらこれを扱うには、各方面に気を配らなければなりません。
犯行の内容を隠しながら物語を進めるため、書き手さまざまなアイディアを絞りだすでしょう。
しかし、必ずどこかで無理が生じるはずです。
だからこそ書き手は、現実世界との整合性には限界があることを念頭におくべきなのです。
つまり、「現実とのつじつま合わせ」をあきらめるわけです。
そもそも物語とは、一部を除けば「創作」として書かれたものです。
書き手が現実世界との整合性ばかり気にしていると、本筋とは関係のない場面をたくさん描かなければなりません。
読み手は、言い訳じみた説明文を求めていません。
よほどトンデモな設定や展開でない限り、読み手は許容できる土台をもっているのです。
注意すべきなのは、物語の世界での整合性はとらなければならないということ。
現実とのギャップはあるにせよ、物語のなかでつじつまが合わないとなると、読み手に大きな違和感を与えてしまいます。
殺人事件であれば、「災害によって警察の到着が遅れている」とか、「何者かの妨害電波によって通報できない」とか、その世界において納得感のある理由は設定しましょう。
「現実世界との整合性をとらない」というスタンスは、とても勇気のいることです。
しかし、この部分を無視しまうことで、「物語としての一貫性」に集中することができます。
それは、物語の魅力を増すためにも必要になる心構えです。
創作するときは、現実とのギャップに捕らわれることなく、割り切って書きましょう。
■ 参考
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