「オリジナリティ」を演出する

2019年4月22日

 

今回は、「オリジナリティ」を演出する方法をご紹介します。

 

やり方はさまざまです。

設定が唯一無二のものであれば、作品の雰囲気もそれに追従してくるでしょう。

筆致や文体が独特であれば、それだけで非凡な印象を与えることができます。

つまり、方法論として考えると、とてもひとつのメソッドで語れるようなものではないのです。

 

そのなかでも今回は、「普通に語られるはずの内容を独特に描く」というアプローチで考えていきます。

なぜなら、これはどのような書き手であってもロジカルに成立させることができる方法だからです。

 

完成させるまでには、大きく分けて3つのステップが必要です。

 

 

最初のステップは、異質な言葉を選ぶ作業です。

■ 「異質な言葉」の作り方

 

上の記事で完成した言葉をもとに考えてみましょう。

 

● 会いたい海辺

● 風が吹く人

● 彼女の音

● 食べたい秘密

● 青いパンケーキ

 

ここでのポイントは、物語との相性を考えることです。

 

相性が悪ければ、物語の流れとの整合性をとることが難しくなります。

ただし、相性が良すぎた場合も、流れに沿うだけの要素になってしまいますね。

これらのバランスをとるべく、選定するときは妥協せずに、とことん突き詰めましょう。

 

今回は例として、「食べたい秘密」を活用することにします。

 

 

次のステップは、言葉を掘り下げる作業です。

 

ここでの目的は、選定した言葉をどのように組み込むかを考えることです。

選定した言葉に対して、いかに真剣に向き合えるかがポイントですね。

 

言葉そのものを分解して、意味や使い方を考えることはもちろん、違う方向へと意味を開いていくのも良いでしょう。

類語や近い表現、比喩や暗喩などを含めて、それぞれが結びつく点を探します。

 

● 「食べたい」

口に入れたい、飲みたい、欲しい

取り入れたい、栄養を吸って排したい など

 

● 「秘密」

内密、隠し事、プライバシー

浮気や不倫、恥ずかしい過去、コンプレックス など

 

ここであぶりだしたのは、それぞれ独立した「点」です。

点と点を「線」としてつなげて、骨格を決めていくのです。

 

ここでは、次のような筋をもとに構築するとしましょう。

 

● 「食べたい」

⇒ 栄養を吸って排したい

● 「秘密」

⇒ 恥ずかしい過去

 

これらの解釈を、強引にこじつけます。

 

「恥ずかしい過去は、水に流したいものだ」

「しかし今の自分を形成するものであることに変わりはない」

「プラスに働いたところだけをとって、ほかの部分は捨て去ってしまおう」

 

この段階で、多少の無理が出てしまうことは仕方ありません。

強引にこじつけた解釈が、後ほどその効果を発揮してきます。

 

 

最後のステップは、物語にまとめる作業です。

言いかえれば、内容のつじつまを合わせていくのです。

 

それと同時に、本来の目的である「オリジナリティ」をもって描いていくことも意識しましょう。

前項でこじつけた内容を、もう一度見てみます。

 

「恥ずかしい過去は、水に流したいものだ」

「しかし今の自分を形成するものであることに変わりはない」

「プラスに働いたところだけをとって、ほかの部分は捨て去ってしまおう」

 

これだけ見ると、いたって普通の内容ですね。

独特なものとして描くには、もう少し工夫が必要です。

 

その工夫のひとつとして、最初に選んだ「異質な言葉」を活用することがポイントです。

次のような書き出しであれば、読み手はどのように感じるでしょうか。

 

『僕には、食べたい秘密がある』

 

読み手の頭には、疑問が浮かぶでしょう。

その疑問を解消すべく、物語を読み進めていくはずです。

 

書き手は、ステップをさかのぼるようにこれを明かしていきます。

 

● 「秘密」= 恥ずかしい過去

⇒ 誰にも知られたくないことを考え、描く。

● 「食べたい」= 栄養を吸って、排したい

ポジティブなものを栄養、ネガティブなものを排泄物として対比させる

 

これらを上手くまとめることができれば、ありきたりな内容にオリジナリティをもたらすことができます。

 

 

今回ご紹介した方法には、各所に重要なポイントがありました。

ひとつだけ強調するとしたら、2つめのステップでの強引な解釈です。

 

解釈の幅が広すぎると納得感が薄れてしまい、せますぎるとありきたりな内容になってしまいます。

もちろん、書き手からすれば「オリジナリティ」であっても、それが読み手に伝わらなければ意味がありません。

つまり、その尺度がとてもあいまいなのです。

 

書き手は、多少の強引さをもちながら、それなりの整合性をとることが大切ですね。

読み手にどう伝わるかを意識しながら、解釈の幅のバランスをとっていきましょう。

 

 

■ 参考

 

 

創作

Posted by 赤鬼