書き言葉の保守性

話し言葉は常に変化しています。

それに対して、書き言葉はあまり大きく変化していません。

個人間でのやりとりやインターネットの書き込みなどは別として、ある程度公的なかたちをもって読み手の目に触れる文章は、どれも似たような文体で書かれていますね。

そもそも書き言葉は、保守的な性質をもっています。

変化することに対して非常に敏感で、話し言葉の影響を受けることを嫌っているのです。

ギャルが使うような流行り言葉はいわずもがな、カタカナで表記される外来語も使わないほうが良しとされます。

絵文字や顔文字の使用はもちろん、「!」や「?」といった記号の使用すらもなるべく避ける傾向にあります。

なぜ、書き言葉はこのような保守性をもっているのでしょうか。

諸説ありますが、もっとも大きな理由のひとつは「書き言葉が模範となる役割をもっている」ことです。

話し言葉は、目の前にいる人に物事を伝えるときに力を発揮できますが、その瞬間に音として流れていきます。

書き言葉に瞬発的な伝達力はありませんが、目に見えるかたちで残すことができます。

もしも残された文章が、デタラメな書き方をされていたものだったとしましょう。

私たちは、正しい言葉遣いを参照できなくなってしまいます。

言葉の表現やその使い方、漢字やひらがなの表記などが模範的に書かれることによって、私たちは言葉の在り方を学ぶことができます。

だからこそ、書き言葉を使うときは「模範的であること」を強く意識するべきなのです。

これは、内容の信ぴょう性を確保することにもつながります。

文章が模範的に書かれることで、単なる情報伝達から、勉学にまつわる内容、後世に伝えるべき歴史や教訓まで、私たちは身につまされるように読み取ることができます。

もちろん、書き言葉が保守的であるといえど、話し言葉の影響をまったく受けないわけではありません。

誤用であったものが誤用でなくなったり、新しく生まれた価値観を取り入れたりと、時代の移り変わりに適応しようとする側面もあります。

書き手が意識するべきは、それらを排除しようとするのではなく、慎重に扱うことです。

やみくもに加速する時代の流れにブレーキをかけるように、吟味した上で言葉を使うのです。

「書き言葉の保守性」を重んじるかどうかで、書き手の在り方が変わります。

後世に残るような文章を書くには、保守的かつ模範的な書き方が必須といえます。

もちろん、変化を積極的に受け入れることによって、至近距離で伝わる文章を書くのもひとつの在り方でしょう。

時間や場所を超えて広範囲に伝達させたいのであれば、文章の内容はもとより、書き方が模範的であることを念頭において執筆しましょう。

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