主軸となる設定を混在させない

 

今回は、主軸となる設定について考えていきましょう。

 

世の中には、複数の設定を用いる物語があります。

書き手は、おもしろい設定をいくつか共存させれば、作品の魅力が増すと考えがちです。

ただし、単純に組み合わせたところで、魅力的な物語になるとは限りません。

 

たとえば、次のような物語があったとします。

 

● 部活に励む主人公が、マネージャーと恋に落ちる

● 夏の夜、肝試しに行った主人公が、恐怖を体験する

 

別の作品として描くのであれば、それぞれの設定が活きてくるでしょう。

しかしながら、同じ作品、同じ主人公で、両方とも主軸にするとなればどうでしょうか。

どちらも作品への影響が強すぎて、物語が渋滞してしまうはずですね。

 

考えなしに「物語になり得る設定」を組み合わせても、その物語がおもしろくなるわけではないのです。

むしろ、全体の流れをぶつ切りにして、本来進むべき方向からずれてしまうのが関の山です。

せっかくのおもしろい設定が共倒れにならないよう、物語の主軸となる設定は1つとするのが原則です。

 

もちろん、原則があれば例外もあると考えるのが自然です。

実のところ、物語に取り入れる設定には「相性」や「大小」があります。

どちらの設定も活かせるような組み合わせであれば、両立させることはできます。

 

例1 相性が良いパターン

● ひょんなことから、主人公がタイムトラベルする 

● 行き着いた世界で出会った人と、恋愛関係になる

 

例2 大小を組み合わせたパターン

● 旅好きの主人公が、夜行バスに乗る

● 目的地に向かう途中、車内で殺人事件が起きる  

 

例3 相性と大小のバランスがとれるパターン

● 主人公がバンド活動を始める

● 主人公は、音楽でのマネタイズを考え、奔走する 

 

上記に挙げた組み合わせであれば、相殺せずに物語を構築できます。

物語を突き動かすためのきっかけとして、前後の設定を活用できるでしょう。

 

2つのおもしろい設定を乱暴にかけあわせても、おもしろさが2倍になるとは限りません。

無理に取り入れようとすると、それぞれの設定が殺し合い、おもしろさはむしろ半減するでしょう。

複数の設定を物語に取り入れるときは、その相性や大小を考えながら、全体のバランスをとるべきです。

物語として破綻しないよう、注意して構築しましょう。

 

■ 参考

 

創作

Posted by 赤鬼