描写する対象の割合を考える【描写の3要素】【雰囲気の描き方】
描写についてあらためて考えてみましょう。
この記事では「描写」を概論的に扱う一方で、実践するときの心がまえにも言及します。
カギとなるのは描写する対象の「割合」です。
これをヒントに、順を追いながら考えていきましょう。
描写の3要素
書き手がなにかを描写するとき、おおまかに3つの要素が対象となります。
例
● 人物
外見や内面
● 場所
土地、建物、その場にある物
● 雰囲気
空気感、風情、ムードなど
「人物」「場所」「雰囲気」の3要素をその都度選び、描写することで場面が構築されるのです。
しかし考えなしに描写するだけでは、人物にだけ文字数を割いたり、場所にだけ行数をかけたりなど、偏りが生じてしまいます。
意図的なものは別として、全体をバランスよく描いていくためにはなにか対策しなければなりません。
次項でご紹介します。
対象の割合
ポイントは、描写する対象の「割合」を考えることです。
明確に「○○パーセント」といえるものではありませんが、目安となる数値を覚えていても損はありません。
あえて数値化してみると、次のようになります。
例
人物 ⇒ 10%
場所 ⇒ 40%
雰囲気 ⇒ 50%
実のところこの割合は、描写の難易度に反比例するような数値になっています。
書き手は「人物」を描くとなれば手が早く、「場所」を描くのも比較的慣れています。
しかし「雰囲気」を描くとなれば、二の足を踏んでしまうことが多いでしょう。
だからこそ書き手は、上記の割合を参考にするべきなのです。
雰囲気を描くよう心がける
「人物」については、物語を通じてさまざまなところで描くことができます。
「場所」はシーンごとに移り変わることが多いため、割合としては多く見積もっておくべきです。
割合の半数を占める「雰囲気」が、もっとも重要といえます。
なぜなら「場面の凄み」を感じさせる要因は、雰囲気によるものが多いからです。
だからこそ書き手は、雰囲気を描くように心がけるべきなのです。
具体的な描き方としては、「人物×場所」からアプローチする方法が挙げられます。
ざっくりとした場所から描いても伝わらないため、明暗、色彩、温度など、まずは細かな設定が必要です。
それをどう見るか、どう感じるかは、登場人物の視点で決まりますね。
「人物」と「場所」という細部を描写すれば、そこから滲み出てくるものがあります。
全体に滲んできたものこそが「雰囲気」で、場面には独特なフィーリングがもたらされるはずです。
雰囲気は決して描きやすいものではなく、ほかの2つに比べても異質な要素といえます。
悩んだり、迷ったりしたときは、人物と場所をかけ合わせてみてください。
そこに滲み出てくるものをていねいにすくい上げながら、描写をしていきましょう。
■ 参考
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