【人物の描き方】安易に書いてはいけない3要素【肩書き・データ・見た目】
今回は、人物の描き方についてご紹介します。
安易に書いてはいけない要素を、3つにまとめました。
この3要素をうっかり示してしまうと、登場人物を「描く機会」が失われてしまいます。
順を追ってみていきましょう。
肩書き
「肩書き」を書くときには慎重になるべきです。
安易に示してしまうと、それ以上でもそれ以下でもない登場人物が出来上がります。
例
● 俺はしがない”サラリーマン”だ。
● 私は”専業主婦”として生きている。
● 僕は”大学生”になった。
特定の肩書きを活かしたいのであれば、状況証拠をそろえるように書くべきです。
たとえば次のような場面を書くことで、特定の肩書きが浮かび上がります。
「満員電車で出勤」
「上司に注意される」
「金曜日に訪れる開放感」
たったこれだけの情報であっても、登場人物がサラリーマンであることは伝わりますね。
重要なのは肩書きではなく、登場人物の立場から思ったことや感じたものです。
肩書きを通じて、人間としての「ふくらみ」や「奥行き」を描くように意識しましょう。
データ
数値で示す「データ」を書く場合には注意が必要です。
例
● 俺は”45歳”になった。
● 暴飲暴食を繰り返し、”76キロ”まで太ってしまった。
● いつしか僕の身長は”180センチ”に伸びていた。
年齢、体重、身長などは、「登場人物の設定」として詰めるときには欠かせないものですね。
しかし、「45歳」「76キロ」「180センチ」は単なるデータでしかなく、これを地の文で書く際には慎重になるべきです。
登場人物には、その特徴をもっているからこそ書けることがあります。
「45歳だからこそ感じること」
「76キロだからこそ思うこと」
「180センチだからこそ見えること」
書き手は、それぞれの特徴を活かすように書きましょう。
見た目
書き手は「見た目」の描き方にも注意すべきです。
例
● 彼は”松本人志”に似ている。
● 彼女は”浜崎あゆみ”のようだった。
● 僕はよく”本田圭介”に間違えられる。
有名人の固有名詞でまとめてしまえば、書き手は楽でしょう。
しかしそこでイメージされる人物像は、有名人の知名度に頼った結果でしかなく、書き手が創造したものとはいえません。
登場人物がかもしだす雰囲気や漂わせるムード、周囲の反応や関わり方など、書き手が描くべきことはたくさんあります。
「明言を避けつつも綿密に描かれた内容」は読み手と書き手、両方にとって「小説の醍醐味」を感じられる部分でもあります。
したがって描くべき内容から逃げることなく、果敢にチャレンジしましょう。
「描く機会」を大事にする
牽制しているのは、あくまで“安易に書いてしまうこと”です。
物語から求められていると判断できたり、書き手の緻密な計算ともとで書いたりする場合には、この限りではありません。
ただし、登場人物の情報を示すときに注意が必要なのは明らかです。
言葉で規定された人物像は、言葉の域を出ることはありません。
ここまでご紹介したとおり、安易に書いてしまうと「描く機会」を失うことになります。
書き手は楽をすることなく、描く機会を大事にしながら魅力的な人物を造形していきましょう。
■ 参考
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