「話した」「語った」「述べた」の使い分け
今回は、話を受けとめる表現について考えましょう。
代表的な表現は、「話した」「語った」「述べた」の3つです。
例
● 彼は「○○」と話した。
● 彼は「○○」と語った。
● 彼は「○○」と述べた。
とくに、使い分けに注目しながら見ていきましょう。
話した(話す)
例
彼は「メロンパンよりもカレーパンのほうが好きだ」と話した。
「話した」は、話し手が発した言葉をそのまま転用できます。
内容に関わらず、声に出したことを受け止められる表現ですね。
「言った」とほぼ同じことではありますが、”まとまった話”を受けるには「話した」のほうが適切です。
シチュエーションに関わらず、広範囲に使える表現です。
語った(語る)
例
彼は「5年後、年商は10億を超える見込みだ」と語った。
「語った(語る)」は、使える内容が少しだけ限られます。
「誰かに対して何かを語った」わけですから、筋道がある内容に使う表現です。
論理的であったり、説得力があったりする場合はもちろん、熱意が感じられる場合でも使えます。
「将来の夢を語る」なども、よく見聞きする表現ですね。
その内容に「誰かに訴えかける要素」が見られる場合は、「語った」を当てはめてみましょう。
述べた(述べる)
例
彼は「現時点で復興予算を削減すべきでないが、いつかは区切りをつけなければならない」と述べた。
「述べた(述べる)」で受け止める内容は、前項の「語った(語る)」と大差ありません。
しかし、内容に対して一定の距離が保たれるという特徴があります。
受け止める内容自体は「語った」と変わらなくても、「述べた」とすることで距離感が遠くなります。
「政治家の発言を紹介する状況」など、公的な話を受け止めるときにも使われる表現ですね。
「賛否が巻き起こりそうな発言」を書き手が扱う場合は、便利に使えるでしょう。
使い分けのまとめ
かんたんに使い分けをおさらいしましょう。
● 「話した」 ⇒ 幅広い内容で使える
● 「語った」 ⇒ 道筋のある内容に使う
● 「述べた」 ⇒ 内容との距離を保つときに使う
ここで挙げた言葉はどれも、普段から何気なく使っていたり、自然に見聞きしていたりするものです。
しかしその意味や用途には違いがあります。
ささいな違いかもしれませんが、書き手としてこれを無視するわけにはいきません。
意識しながら使い分けられるようにしましょう。
■ 参考
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