【書く仕事】書き手がもつ人脈について【出会いとつながり】
どんな業界であっても、「人脈」を作っておくことは大切です。
書く仕事における人脈といえば、書き手というよりむしろ”編集者に必要なもの”という印象を受けるかもしれません。
ただし、書き手だからといって人とのつながりをもたなくていいわけではありません。
まして独立・開業を視野にいれている場合、関係性の構築がいかに重要であるかはいうまでもありません。
今回は書き手としての人脈について考えましょう。
人脈を作ること
書く仕事に従事する上で、初期の「文章力」はあまり重要ではありません。
もちろん最低限の日本語力は必要ですが、たとえ未熟であっても、文章力はあとからついてきます。
知識やノウハウ、立ち回り方なども、少しずつ覚えていけばいいので、過度に気にする必要はありません。
ただし、人との出会いやつながりは、強く意識して大切にしたほうがいい。
自分に仕事が舞いこんでくるとき、そこにはかならず「人」がいます。
人脈を作るためにはまず、誰かと出会わなければなりません。
人脈を有効に機能させるには、得られた出会いをないがしろにせず、大事にあたためておく必要もあります。
個人としっかり向き合うことではじめて、書く仕事が見えてくるのです。
いつまでもかまってくれるとは限らない
編集者さんは、カメラマンやイラストレーター、取次業者や書店、ほかの業界人も含めて、さまざまなつながりをもっています。
良い悪いを別にして、書き手は編集者さんとつながってさえいれば、その幅広い人脈を借用することができます。
ただし、編集者さんに依存する状態はあまり好ましくありません。
書き手のほうも自分ならではの人脈を作っておき、地力をある程度高めておくことをおすすめします。
というのも、編集者さんがひとりの書き手にいつまでもかまってくれるとは限らないのです。
もちろん、執筆の仕事を頼まれたのであれば、多少のわがままも許してもらえるでしょう。
詳しい資料を要求したり、適切と思われる取材先を紹介してもらったりと、良い文章を書くために必要なことであれば、積極的に相談すべきです。
しかし、たとえば書き手が自発的に「お金になるかどうかわからない文章」を書きたくなり、そのために取材が必要になったとしましょう。
編集者さんは会社員として働いている人がほとんどですから、書き手のぼんやりとした要求にほいほいと応えるわけにはいきません。
フリーの編集者さんであればなおさら、金銭的・経済的な価値の判断がシビアになるはずです。
仮に疎遠になっていたとしたら、良き人脈を軽々と提供してくれるとは思えず、書き手としても借用するのも気が引けるでしょう。
「自立・自律」する心がまえ
「お金になるかどうかわからない文章」を商業ベースに載せようとすると、それはいわば「誰からも求められていない文章」になります。
よほどのメリットがない限り、編集者さんは協力しづらいし、書き手としてもなにかを要求しづらい状況になります。
だからこそ、書き手として「自立・自律」する心がまえは必要です。
たとえば雑誌の企画などでは、個人のライターさんが主導して進める場合があります。
編集者さんの指示に従って動くこともあれば、必要な作業のほとんどをライターさんが担うこともあります。
(そのような仕事を請け負うライターさんは、すでに経験豊富であるという見方もできますが……)
企画自体がいわば「まる投げ状態」になったとき、独自の人脈をもっていなければ非常に苦しくなります。
そのとき使えるパイプの本数や太さもまた、書き手としての実力として考えていいでしょう。
「出会い」や「つながり」
とはいえ、懸命に働いていれば、人脈は自然と増えていきます。
営業職のように毎日たくさんの人と接するわけではないにしても、仕事に励むほどに「出会い」は重なります。
年数とともに重ねた出会いが、新たな仕事を生むのです。
● 仕事を通じて知り合ったイラストレーターから、執筆の仕事を紹介してもらった
● 取材したお店のオーナーが新たに別の事業を始め、追加で記事を書くことになった
● 音楽イベントで出会った人が会社経営者で、社外向けの刊行物(パンフレット)の執筆を依頼された
※特定を防ぐために細かなところにボカシは入れていますが、大まかには私の実体験にもとづいています。
お金があるから人が動くのではなく、人がいるからこそお金が動くのです。
だからこそ書き手は、人との出会いはもちろん、その後のつながりも大切にするべきです。
勘違いしてほしくないのは、これがいわゆる「経営者としての戦略」といった、即物的な観点からの話ではないことです。
重要なのは、ひとりの人間として、お互いに信頼できる関係を作ることです。
常に「人」に対してアンテナを立てておき、心を開いている状態でいるからこそ、それが良質な仕事につながっていくわけです。
仕事の機会だけでなく、日常生活で得られる出会いやつながりも大切にしていきましょう。
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