漢字とひらがなの使い分け
日本語の文章は、さまざまな字体が混在して形成されます。
特に使う頻度が多いのは、ひらがなと漢字ですね。
この使い分けについて考えてみましょう。
原文
上司に相談した所、「迷った時に無理をするのはやめて置きなさい」との事だった。
一見すると何の変哲もない文ですが、ひらがな変えるべき箇所があります。
どの語句か判断できますか?
さっそく正解を見てみましょう。
改善文
上司に相談したところ、「迷ったときに無理をするのはやめておきなさい」とのことだった。
変わったのは、以下の箇所です。
● 所 → ところ
「所」は特定の場所を表します。この内容では、「相談してみたら~」という意味で使われているので、漢字は不適切です。
● 時 → とき
「時」は時間や時期を表しています。この場合は「~の場合」の意味合いで、具体的な時間を表したいわけではありません。時間に関係なければ、ひらがなを使います。
● 置きなさい → おきなさい
この「おきなさい」は補助用言(補助動詞)と呼ばれるもので、直前の「やめて」に添えることで意味に変化を与えています。
つまり put(置く)とは性質が異なっているので、漢字で表記するべきではありません。
● 事 → こと
漢字で「事」を使うのは、内容に具体性があるときのみです。今回の「こと」は、上司のアドバイス全体を名詞化する役割として使われているので、ひらがな表記にすべきです。
ひらがなと漢字の使い分けで重要なのは、正誤の判断だけではありません。
原文と改善文とを比較したとき、読みやすさが違っていることに気づくはずです。
改善文は、その文体からやわらかな印象を受けます。書いている内容は同じでも、流れるように読むことができるのです。
このような読み手への気遣いがあってこそ、読みやすい文章を書けるのです。
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