感情語と論理語

 

 

タンスの角に小指をぶつけて、「ぎゃー!」「うぁあー!」「でぇー!」といった悲鳴をあげたとします。

このとき咄嗟に出た言葉を、感情語と呼びます。

 

生まれながらにして肉体にこもった言葉とされ、赤ちゃん言葉や、犬や猫の鳴き声も、これに含まれます。

しかし言葉にならない発生だけを、感情語と呼ぶわけではありません。

「嬉しい」や「楽しい」、「悲しい」や「寂しい」のように、大人でも日常的に使う言葉にも感情語は該当することがあります。

 

 

振り返りますが、冒頭でタンスの角に小指をぶつけたはずです。

痛みが引かないので、病院に行くことにしましょう。

あなたは、お医者さんに対して「ぎゃー!」「うぁあー!」「でぇー!」とは伝えないでしょう。

おそらく、症状を説明しようと努力するはずです。

 

「昨日、タンスの角に小指をぶつけてしまいました」

「歩くことはできますが、動かすとズキズキ痛みます」

 

 

このように、相手にわかるように伝える言葉を、論理語といいます。

論理というくらいですから、言葉を筋立てなければ成立しません。

感情語とは異なり、頭の中で整理してから言葉にする必要があるのです。

他者とコミュニケーションをとり、お互いの理解を深めるには、この論理語を使えることが前提です。

 

感情語と論理語。

言葉そのものに、優劣はありません。

ただし、文章に書くにあたって重要なのは、間違いなく論理語です。

読み手の理解を得るには、論理的に説明しなければなりません。

そのときに、論理語は必要不可欠です。

 

書き手として、感情にまかせて書くことは決して褒められるものではありません。

考えて、整理して、選んで、洗練された言葉、つまり論理語を使うべきなのです。

 

 

Posted by 赤鬼