重言を正しく理解する
重言(重ね言葉)による重複表現は、話し言葉では流されがちです。
しかし書き言葉では、異物として浮きあがってしまいます。
① 射程距離に入る(射撃できる距離距離に入る)
→ 射程に入る、射程内に入る
② アメリカに渡米する(アメリカにアメリカに行く)
→ アメリカに行く、渡米する
③ 嫌悪感を感じる(嫌悪を感じる感じる)
→ 嫌悪感を覚える、嫌悪を感じる
このような重言が文章にあれば、書き手の知識不足を露呈することになります。
良い文章を書くためには、絶対に避けなければなりません。
ただし、むやみやたらに警戒するのも逆効果です。
重言のなかには、日常的に使われているものもあるのです。
その多くは、固有名詞です。
「ラム酒」「サハラ砂漠」「フラダンス」はいずれも重言ですが、すっかり一般化しています。
これらを「ラム」「サハラ」「フラ」と表記すると、かえって伝わりづらくなってしまいます。
固有名詞に関してはあまり神経質にならず、一般的な呼称で書いたほうが良いです。
また、文章には同じ言葉を繰りかえして意味を強める表現があります。
「かねてより」や「歌を歌う」、「巨大」はこれにあたります。
記事のなかで使った「重複」や「表現」「むやみやたら」という言葉も同様です。
これらも同じことを意味する言葉が重なっていますが、重言としては扱われません。
文章を書くにあたって、重言は絶対に避けるべき表現です。
ただしそれらを警戒するだけでは、書き手として不十分です。
意味を強める表現があることを理解して、正しく運用していきましょう。
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